第18話 悪夢
目が覚めると身体中が痛かった。
「あっ!!資料!!」
昨日全部終わらせたとこまでは覚えているが、届けるの忘れて寝てしまっていたようだ。
外は既に明るくなっており、太陽の光が窓から差し込んでいた。
資料を急いで持っていこうと立ち上がった時、机の上に積んでいた資料が全てなくなっていることに気づいた。
「あれ?無い!?」
探していると置き手紙を見つけた。
──新へ
夜遅くまでご苦労さま。中々来ないからこちらで回収しました。
目が覚めたら生徒会室へ来てね。
魁斗
短く簡潔に呼び出しをされていた。
…行きたくない。
でも、敵でないとわかってくれたようだし、学校でのことでなにか話があるのならば、風紀委員長として行かなければなるまい。
俺は寝起きで痛む身体を少し休ませて行こうと思いまた眠ってしまった。
俺はその時夢を見た。
段々と物語が悪い方へ進み、最終的に俺が死ぬ夢。
俺は夢の中で、協会の断罪部屋の台に手足を拘束され自由を奪われていた。そこには色んな人がいた。学校の生徒、先生。新の両親。そして、このゲームの主要キャラたち。
俺は杏様の姿に気がついたが、杏様が俺の事を冷たい目で見下している。
周りをよく見ると、他のみんなも俺の事を嫌悪感を含む目で見ていた。
俺はその視線に耐えられず顔を背けると同時に魁斗の声が聞こえた。
──神の名において、目の前の悪魔の断罪を宣言する。皆の幸福と安全を脅かす悪魔は、人の姿へなることも出来る。ここにいるのは人の姿をした悪魔だ!私の友の姿を使い皆を惑わせた!
悪魔を処刑することでこの国はより豊かになるだろう!!
それを聞いたみんなは歓声を響かせる。
俺は怖くて震えていた。
そんな姿を見て魁斗は笑った。
その瞬間、俺の体は大きな炎で包まれた。
痛みがリアルで、とても耐えられるものではなかった。泣き叫び助けを求めるも皆喜びの声をあげるばかり。
炎に完全に包まれる時一瞬見えたみんなの顔は、まるで悪魔のように不気味な笑みをしていた。
そこで目が覚めた。
呼吸が浅く早かった。
「なんで…、こんなエンドは原作には無かった!!」
俺は動揺しすぎて霊力が溢れ出した。
(おい!心が乱れすぎだ!!深呼吸をしろ!落ち着け!)
「分かってるよ!!」
俺は、1度深呼吸をして心を落ち着かせようとするも無理だった。
不安から来る悪夢で済ませばいいのに、何故か胸騒ぎがしてならない。
その時ちょうどチャイムが聞こえた。
時計を見ると既に昼を回っていたようで別の意味でも焦ることになった。
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