第17話 記憶
放課後──
「2日も無断欠席してすみません。」
「先輩…いいですよ。僕達が頑張りましたから。」
そう言って笑ってくれた後輩達の目に生気が無かった。
「ほんっとにごめんなさい!!あとは俺がやるからみんな今日はもう帰って休んで!!ありがとね!!」
俺がそう言ってみんなを強制的に帰らせると、入れ違いのように魁斗が入って来た。
「ちゃんとやってるようで何よりだよ。はいこれ、2日分の資料。目を通してサインよろしく。」
そう言って俺の目の前の机に置かれた大量の資料。
俺が目を見開いて驚いていると魁斗が笑顔で出ていった。
最後に、
「それ今日までだから。よろしく。」
なんて地獄の言葉を添えて。
とりあえずと1枚手に取り内容を見てみると、俺自身は全く理解できそうにないことが沢山書かれていた。
もちろん新の脳で今のところ理解はできた。
…とりあえずは。
そこからはもう、必死でサインしまくった。
やっぱり後輩たち帰すんじゃなかった…
全部の資料にサインし終えたのは、星が綺麗に見え始めるくらいの時間だった。
窓を開けて夜風にあたる。
ふと空を見ると、元の世界で見ていたような星空が見れてすごく懐かしくなった。
「コミケ、行きたい。元の世界に、帰りたい。菊池…元気かな…。」
ふと言葉にして驚いた。
菊池…
誰なのか分からない。名前は覚えているが、顔が全く思い出せない。
この世界に来て、元の世界のことが全て忘れてしまったのかと思えば、所々で覚えていることもある。
何故なのかは分からない。
俺は疑問に思ったが、段々と睡魔が襲ってきて、机に突っ伏してそのまま眠ってしまった。
目を閉じる瞬間、俺の本当の名前を呼ばれた気がした。
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