第14話 太陽

3人で川の字になって寝てたベットの上に黒いカラスと白いカラスがいる。


「えっと…これが杏の聖獣?」


「そうだ。」


聖獣と言うには少し違和感を持つ2羽。

だが俺は知っている。この2羽のカラスの恐ろしさを。


「白い方がラオ、黒い方がテルだ。」


紹介された2羽のカラスは丁寧に頭を下げてお辞儀した。


「へぇー、でも、2羽?の聖獣と契約してるの珍しいよね。」


「テルは例外だ。」


「そーなんだ。」


「…」


「…」


空気が重い!!


「もー!2人とも、俺を挟んで空気重くするのやめてくれない!?ほら、もう寝るよ!!はい!おやすみ!」


俺は無理やり2人に掛け布団を被せて目を閉じた。


「そうだね、そろそろ寝るかぁ。おやすみ〜。」


「おやすみ。」



しばらくして2人の規則正しい寝息が聞こえてきた。


そして俺は眠れずにいた。


「あぁ〜幸せすぎて死ぬわ〜。」


杏様が俺を抱き枕のように抱き締めている…

チラッと横を見ると杏様の素敵な寝顔がある。

まつ毛が長くて鼻筋がスっと通ってて綺麗な唇で、もう、たまらん!


俺はしばらく杏様のまつ毛の数を数えているとその目が勢いよく開いた。


「杏!?」


「新…視線が痛い。眠れない。」


「あ、ごめん!!寝顔が綺麗すぎてつい…。」


「俺からすれば新も綺麗だぞ。」


杏様が微笑んだ。


まじで死ぬかと思った。

天使過ぎて天使が過ぎる。

もう語彙力が吹っ飛んだ。

同時に顔が熱くなるのが分かり着ていた布団を顔まで上げて隠れる。


「新、今日は楽しかった。改めて明日からまたよろしく頼む。」


「こちらこそ。」


俺は顔を隠したまま手だけを出して握手を求める。

けど、いつまでたっても手には何も感触がなく耐えきれず気になって布団から顔を出すと杏様がまた笑った。


「やっと出てきたな。」


俺はついその笑顔に見とれてしまった。

太陽のような、少し子供みたいな無邪気な笑顔。


俺も笑って返した。


「杏、明日もきっと楽しいよ。おやすみ。」


「あぁ、新と拓と一緒なら、楽しくなる気がする。」


後ろで動く気配を感じたが気付かないふりをして眠りに落ちた。


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