第13話 お泊まり会

「えぇっ、あっくんはあのイカレクソ野郎のことが好きなの〜?」


「あはは、そんなまさかァ…大好きなの。はぁと。」


「新、あいつはやめた方が…。」


「頭も良くて誰にでも優しくて悪いとこなんてない素敵な人だよ?」


これはあくまでも海堂 新としての見方で俺はそんなこと微塵も思っていない。


そもそもなぜこの会話が始まったかと言うと、たっくんが、


「ねぇねぇ!お泊まりと言ったら、ガールズトーク、好きな人の話でしょ!!」


なんて言って勝手に語り出したからである。

そして現在がこれ。


「あっくんそれ本気で言ってるなら、お腹抱えて笑うけどいい?」


「魁斗ってほんとカッコイイ…。」


「あはははははは!!あっくん本気なのウケる!!」


「たっくん、今の冗談だから!!大声出さないで!!寮長に怒られるでしょ!?」


「冗談でも面白くて…ごめんねぇ…ふっ。」


「謝りながら笑ってるじゃん…。」


「新、あいつはダメだぞ?」


「えぇっ!?杏、冗談だから!!本気にしないで!?」


「ならいいが…。あまりあいつには近づくなよ?新。」


杏は枕に顔を埋めて俺の事をちらっと見た。


おいおい。急に可愛いことやってくれるじゃないですか俺の推しは。

これは男の俺でも少しはドキッとしちゃうよ。


「あ、じゃあ杏は好きな人はー?いないのー?」


「俺は…、そうだな、好きな人はもう居ないかな。」


杏様は少し遠い目をして、寂しそうに答えた。


「た、たっくんは!?」


空気が少し重くなったのを感じ俺は咄嗟にたっくんに話題を振る。


「俺ぇ?んー、いないかなぁ。あえて言うならあっくんだよ〜。」


「それは友情の方でしょ〜?」


「違うよぉ。」


「え?」


俺は一瞬ビクッとしてもしかしてとたっくんの方を見ると、すっごくいい笑顔で、


「おもちゃとして大好きだから。いじりがいがあるしね〜。」


と言われた。

友達ですらなかった。


「拓、新が泣くぞ。新、大丈夫だ。拓は照れてるだけだ。本当は親友だと思っている、はずだ」


「ちょっと、杏、やめてよ。」


図星だったのか、拓は近くにあるクッションを俺に投げてきた。


火の魔法で包んで。


「あっぶな!!たっくん危ないじゃん!!」


俺はキャッチすると同時に水で消火したが、可愛いクッションは灰と化した。


照れ隠しということはわかっているがさすがに身の危険を感じた。


「明日も学校だし、寝よう!」


俺はこんなことで命を落としたくは無いため早く寝るように促すがなかなか寝ようとしない杏様とたっくん。


「あ、そういえば、杏って魔法の属性何?」


「もう、俺寝るからね!?」


「拓は火の精霊か?」


「そうそう〜。」


「2人とも明日起きれなくても俺置いていくから!」


「俺は火の聖獣使いだ。」


「そっかぁ、聖獣見てみたいなぁ。」


「いいぞ。」


「ちょっと杏!?ここで召喚しないで!!」


杏の聖獣を知っている俺は会話の内容を聞いて慌てて召喚を止めようとしたが間に合わず聖獣が現れた。




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