第12話 秘密

鍋パーティーが終わり片付けている間にたっくんと杏様がお泊まりセットを持ってきた。


「誰からお風呂入る?」


「お風呂も広いし3人で入っても大丈夫じゃない〜?」


「あ、俺は…。」


「え〜俺恥ずかしいからヤダ!たっくんエッチな目してるし…。」


俺は知っている。杏様の身体には小さい頃につけられた大きな傷があることを。だから少し気を使ったつもりだ。


「俺最後でいいから、杏とたっくん先に入ってきなよー。たっくんは使い方わかるよね?入る前に杏に教えてあげてー。」


「りよーかーい。杏来て!」


たっくんと杏様がお風呂場へ向かっていくのを見送って寝室へ向かった。


「3人かぁ…。修学旅行の時は、1人だったからなぁ…。楽しみだなぁ…。」


向こうの世界で修学旅行に行けず1人ベットで寝た記憶が蘇る。



「新?」


「杏…どうしたの?」


「新、寂しそうだな。」


杏はベットに転がってた俺の隣に座って頭を優しく撫でてくれた。


お母さんみたいで向こうの世界のこと思い出して少し涙が出た。

今頃母さん達は元気だろうか。


「ホームシックとか、まだまだ子供だなぁ…俺。」


「大丈夫だ新。」


「うん。ありがとう。」


俺はしばらく杏に頭を撫でてもらった。


しばらくしてたっくんが出てきて杏様がお風呂に行った。


「で、あっくんは何を企んでるのかなぁ?」


「別に、何も企んでないよー?」


「嘘つき〜。あっくん、未来は決まってるんだから、楽しまないと。」


「…なんの事かなー?」


「知らないフリしててあげる。けど、いずれズレるよ。」


たっくんはわかっている。

この物語がどこへ向かっているのか。


でも、今はただ、俺が生き残ることだけを考えて、杏様に幸せになってもらうと同時に俺も幸せになれる方法を探すしかないのだ。




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