第11話 鍋パーティー
「あっくーん!俺にもそれちょーだい!」
「だめ!これは杏のだから!」
「すまないな、拓。」
「ずるいー!」
現在、夜の7時。
絶賛3人で鍋を囲んでいます。
あの後2人でお茶を飲んでいるところにたっくんがピンポン来て杏様の料理を見てみんなで作ろうってことになりそのまま3人で鍋をすることになりました。
「あつっ…。」
猫舌の杏様も可愛い…。
なんて杏様の食事シーンをガン見してたら、杏様のために用意したお肉をたっくんに取られ冒頭に戻る。
「まだいっぱいあるじゃん!杏だけずるいー!」
そう言ってお肉を頬張る杏様に突っかかるたっくん。
杏様の静かなイメージが今では無邪気な子供に変わった。
「杏様素敵…。」
ポロッと口から零れた言葉を杏様は聞き逃さなかった。
「新、また様になってる。」
「あ、ごめん杏!」
「てかさ〜、あっくんはなんで杏のことを様付けしてるの?」
「ふふん!よくぞ聞いてくれた、たっくんよ。杏様…じゃなくて杏の魅力を存分に語ってやろうでは無いか!」
「魅力〜?昨日今日出会ったばっかりなのに?」
「あ、そうだった…。」
完全に忘れてた。てか、本当は新は杏様の敵になるはずなのに、めっちゃ仲良くなってしまった。
でも、とりあえずこれで、杏様がどのルートに行っても死ぬ確率が下がったと思う。まだ油断は出来ないが。
それよりも、俺はふと思い出した。
原作では魁斗は初日の夜、杏様の部屋に訪れるのだ。
でも今杏様がここにいるということは、部屋に行っても誰もいないわけで、魁斗と杏様のイベントがひとつ無くなる。
そうなればルートが変わる?
いまいちまだ仕組みを理解していない俺はとりあえず試してみることにした。
「杏、良かったら泊まっていかない?最近1人が寂しくてさ。」
「もちろん。」
「え、俺も泊まりたーい!」
「たっくんは部屋隣じゃん。寝る前に帰りなよ。それに、お客さん用の布団ひとつしかないし。」
「え〜、ダメ?」
たっくんが上目遣いでこっちを見てくる…。
「可愛い!許そう!!」
「やったー!」
「でも、布団どうしよう…。」
「誰か一緒に寝るしかないんじゃないかなぁ?」
「そうだね。杏は一人がいい?」
「え?」
話を聞いていなかったのか杏様がお肉を頬張ってこっちを見た。
可愛いがすぎるぞ!
「あ、俺はどっちでも大丈夫だ。」
「てかベットダブルだし、3人入らないかなぁ?」
「んー、せまくない?」
「川の字だな!俺はそれでも構わない!」
いきなり杏様が張り切り出してイキイキしだしたので結局3人で寝ることになった。
「あぁ、お肉美味い…。」
俺は杏様を十分堪能してから自分も肉を味わった。
やっぱり推しと食べる肉は今まで食べた肉の中で一番美味しかった。
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