第6話 魔法の使い方
忘れていたがこの世界には魔法がある。
精霊使いと聖獣使いの2種類にわかれ、精霊使いは貴重とされている。
またこの世界では世界戦争が起きる。
それはまだ先だがこれも重要イベントの1つである。
新は精霊使いと書かれてあった。
はず。
「えーと、どうやるのか全く分からないんですけど…。どうやったら魔法って使えるの?」
『そなたは、誰だ?』
「びっくりした!誰!?」
周りを見渡しても誰もいない。
そう言えば、精霊使いは己の中に精霊を宿していると書いてあった気が…。
『そなた、海堂 新では無いだろう。魔力の質が昨日変わったのを感じた。そなたは、誰だ。』
力強い声は直接脳内に響く。
「俺は…。あれ、俺、名前なんだっけ?俺の名前…。思い出せない。なんで!?」
転生前の記憶はあるものの自分が誰だったのかは不思議とすっぽり抜けていた。
『そなた、この世界の者ではないないな?』
「…はい。この世界に来る前に強盗に襲われて死んで、気づいたら新になってて。」
『なるほど、嘘は言ってないようだな。霊力の質は変わったが、問題なさそうだな。』
「あの、魔法ってどうやって使うんですか?」
『…はぁ!?使い方を知らぬと!?問題があったな…。』
「んー、新の記憶だとこう、パッて感覚で使ってるみたいだったけど…。」
『もしや、私の名も覚えておらぬわけではなかろうな?』
「…どなたですか?」
『ぐぬぅぅぁぁあああ。終わった…。私はもう精霊としての生を全うした…眠るか…。』
「キャラ崩壊ワロタ。で、どうやったら使えるんですか?」
『はぁ、私はクロノ、水、氷を操る精霊王だ。魔法を使うのは使うもの次第だ。詠唱するものもいれば、力を意識しただけで使える者もいる。新は後者のタイプだった。そなたも意識してみたら使えるかもしれないな。』
「そうなんですかぁ。ふっ!」
指先に意識をして元の世界の氷をイメージした。
すると、指先に鋭い感覚を覚え、目の前が光で包まれた。
思わず目を閉じてしまう。
バリッ!!
嫌な音が聞こえ目を開けると、視界に映ったもの全てが凍っていた。
『ほぉ、素質だけはある様だな。新の力とほぼ変わらん。』
「何事ですか!?」
扉が急に開き…きらず、頑張って開けようとしている男の声が聞こえた。
「新くん!?大丈夫ですか!?ものすごい音が…、開かないんですけど!?」
「あ、すみません!ちょっと魔法を使ってみたら部屋が凍っちゃって。」
「部屋が凍った!?」
「大丈夫ですー!迷惑かけてすみませーん!クロノ、これどうやったら…。」
『脳内で語り掛けろ。あと、クロノ様と呼べ。』
(あ、はい。すみません。クロノ様これはどうやったら溶けるんですかね?)
『私の聖なる力が自然と解けるわけがなかろう。馬鹿かそなたは。』
ムッカァ。馬鹿ってなんだ。
(じゃあこの氷どうやって消すんだよ!)
『仕舞うのだ。この氷はそなたの霊力の1部だ。戻ってくるようなイメージだ。』
(戻ってくる?仕舞う?)
うーん、と唸っていると扉が凄い音で開けられた。
「新君!!説明を求めます!!」
「あぁ、紅秋さんだぁ…。美人だ…。」
部屋へ突撃してきたのは副会長の蒼司 紅秋(そうじ くれあ)だった。すごく美人である。そう。美人だ。
「新君?本当に大丈夫ですか?」
「えっと、すみません。」
「あのですね、いつも言っていますが、私が美しいのは当たり前のことなのでいちいち口にしなくとも大丈夫です。それより今はこの状況を説明してください。」
あ、ナルシストかこの人。そういえばそうだった。
とりあえずこれで魔法が使えることがわかった。
気づくと、氷は消えており魔法を使った痕跡は何も無かった。
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