漫才「世の中って逆」
さかなへんにかみ
第1話
A:気づいたことあって
B:何?
A:おおざっぱに言うとよ、おおざっぱに言うと世の中って逆なんだよね。
B:どういうこと?
A:ぱっと見の印象と実際に体験してみての印象がガラッと変わることって結構あると思って、例えば見た目怖そうな人と話してみたらすごい優しかったり、逆にぱっと見物腰柔らかい人でも実は厳しかったりするじゃん。
B:たしかにね。でもそれだけで世の中って逆とまでは言えないでしょ。
A:いやいやそんなことない。
B:ほんと?
A:例えば俺のこと最初にどう思ってた?
B:うーんと、クソ根暗チビかな
A:なるほどね。で今は?
B:クソ根暗チビ?
A:なんでやねん!やめさしてもらうわ
B:いやボケじゃなくて、本当に
A:失礼だな!
B:大きい声
A:いや待って、これは良くない例だったわ。
B:他何かある?
A:じゃあ、お前将棋指せたよね?
B:まぁ弱いけどね。
A:将棋ってさ、最初はどう思ってた?
B:地味かな?盤とにらめっこして
A:今は?
B:まあ面白いよ。奥が深くて。
A:だろ?これ逆なんだよ。
B:まあまあたしかにね。
A:じゃあ、ちょっと趣向を変えるけどエナジードリンクってあるだろ?あれどう思ってた?
B:何かおしゃれみたいな感じ?
A:今どう?
B:飲んでる人みるとカッコつけてるなって思うかな。
A:だろ?イキってんじゃねぇ若造がって思うだろ?
B:そこまでは言ってないけどね。
A:じゃあステーキってあるだろ?あれどう思ってた?
B:いやこれはうまそうって思うよ。
A:うん、で実際食べてみて?
B:いやうまいよ
A:うまくないよ、胃にもたれるだけだろ。さわらの西京焼きの方がうまいだろ
B:じじいじゃねぇか!将棋と魚が好きで、エナジードリンク飲んでる若者が嫌いってじじいじゃねぇか。
A:いやじじいじゃないよ。若いから。見た通り。
B:他のやつ言ってみてよ
A:しゃべくりセブンってあるだろ?テレビの。
B:いや面白いよ。話題の人呼んでさ、クリームシチューさんとかね。
A:いや面白くないよ。若大将のゆうゆう散歩の方が面白いだろ。
B:じじいじゃねぇか。もう終わってるしね。
A:じゃあ、人形焼ってあるだろ?あれ美味しそうだろ?
B:美味しそうだよ。
A:美味しんだよ。
B:じじいじゃねぇか。ルールが変わってるしじじいじゃねぇか。
A:お茶とな。こう、な。
B:人生を楽しんでるじじいじゃねぇか。
A:(コントターン)3六歩。ああ、道を塞がれたた!何だ婆さん、夕食?お肉はいいよ。うん、魚にしておくれ。ゆうゆう散歩はじまったな。駒込か。あ、お茶か。ありがとう。お茶受けは?人形焼?ありがたいねぇ。なあ?
B:典型のじじいじゃねぇか。
A:どうも典型のじじいです。
B:認めちゃってんじゃんり
A:ぱっと見若いと思っただろ?
B:まさか
A:どうも典型のじじいです。
B:もういいよ。ありがとうございました。
漫才「世の中って逆」 さかなへんにかみ @sakanahen
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます