ホワイトデー

椎名由騎

お返し選び

 僕はバレンタインデーのお返しのお菓子を選びにショッピングモールに来ている。目の前にはマシュマロやクッキーなどがあり、どれを選ぶか迷っていた。

 実を言うと、そもそもお返しをする予定ではなかった。

 バレンタインデーの時に彼女からは貰ったチョコは手作りで僕もお返しを用意すると伝えたのだが、彼女からは「渡せるだけでいいの」と力説されて断られていた。だから物でのお返しをせず、遊びに行った時にでも何かしてあげようと考えていた時に姉が口を挟んできた。

「せっかく彼女が手作りしたチョコになにも返さないとか男としてどうなの!?」

 姉にそう言われて連れてこられたのが今である。できることなら早く選んで帰りたいが、お返しで渡すお菓子にも意味があると言われて簡単に選べなかった。

 そうなれば意味を考えずに彼女が好きな物を選ぶか、もしくは姉に意味を聞いて選んでもらうかだろう。


 ただ姉に選んでもらった物を渡すのは気が引けた僕は、彼女が好きな物を選んで買い物を済ませる。店の外で待っていた姉から「何買ったの?」と心配そうな顔をされて僕は言った。

「意味関係なく彼女の好きなマカロンだよ。彼女の喜ぶ顔の方がいいし」

 ぶっきらぼうに言った僕とは裏腹に姉は驚いたようなかおをしてからニヤニヤした顔になったことに僕は疑問に思った。


 いったいマカロンにはどんな意味があったのだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ホワイトデー 椎名由騎 @shiinayosiki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ