虹色亭-2

 このままじゃヤバイ

 二度目の人生がここで終わってしまいそうです

 まだ結婚したばっかなのにな〜

 いやこんなとこで諦めてどうする

 オレは生きる!

 生きてレイカに会うんだ!

 ほぼ死にフラグとも言えるセリフを胸中で叫びながら何とか皆を落ち着かせようとするオレ


「オレは何もしてませんよ!

 え〜とマルモアちゃん?に急に話し掛けられただけです!」


 しっかり正面からフェルゼンさんの目を見ながら話す

 兎に角フェルゼンさんからだ

 鬼っぽいザフィーアさんとは初対面だしな!

 頼むからオレの言葉に耳を傾けてくれよ〜


「本当か?マルモア」


 やった!通じた!


「うん!何もされて無いけど

 ・・・ヤラシイ目で見てた!」

「小僧ーーーー!!!!」

「勘弁しろーーーー!!!!」

「リオン君どうしたの?

 大きい声出して」


 レイカ!目を覚ましたか!

 お前からも言ってやってくれ

 オレに幼女趣味は無いと


「こんな可愛い奥さんが居ながらウチの娘にまで色目使うなんざとんだ外道だね〜」

「えっ?」


 ザフィーアさんの言葉でレイカの表情が無くなる


「リオン君・・・まさか・・・」


 あああ泣きそうな顔になってらっしゃるー

 泣きたいのはこっちだ!


「ちがーう!無実だー!

 オレはレイカ一筋です!年下に興味は有りません!」

「リオン君!」

「なにおー私はこれでも20歳だぞ!

 おまえより年上だー!」

「そうだぞ小僧!

 それとも何か?マルモアに魅力が無いとでも言うつもりかー!!!」

「話をややこしくするなーーー!!!」


 ひゃっひゃっひゃとザフィーアさんは指差しながら大笑いしている

 実はこの人わかってて楽しんでたな?


「なんだと小僧ーーーー!!!!」


 あ、フェルゼンさんはガチだ


「いや〜アンタなかなか面白いね気に入ったよ

 アタイはザフィーア

 見た通りオーガーさよろしくな!」


 ザフィーアさんはフェルゼンさんに負けない位逞しい腕を差し出してくる

 オレは握手に応えその手を握り返す

 あ、指は意外と繊細で柔らかい


「ザフィーアどう言う事だ?」

「あんたまだ気が付かないのかい?

 マルモアに担がれたんだよ」


 フェルゼンさんがマルモアちゃんをユックリ振り返ると


「てへっ」


 うわ〜生テヘペロ初めて見たわ〜

 あ〜フェルゼンさんこりゃ怒ってるな〜


「ぶわっかもーーーん!!!」


 ゴインッ!と言う音と共にフェルゼンさんのゲンコツがマルモアちゃんの頭頂部にヒットした

 割と加減なく振り下ろしてたけどマルモアちゃん大丈夫かいな


「・・・・・っ!」


 マルモアちゃんは頭を抱えて声も無くうずくまっている

 余りの痛みに出せないと言った方が正しいか?


「リオンすまんかったな

 マルモアには後でしっかり言い聞かせておく」

「いえ、元はと言えばオレが盗み聞きみたいな事をしてたのが悪いんです

 余り叱らないであげて下さい」

「おお!おまえ良いやつだな!

 友達になってやっても良いぞ!」


 マルモアちゃんもう復活したのかよ

 流石ドワーフとオーガーのハーフ

 丈夫に出来てらっしゃる


 しかし・・・

 ザフィーアさんをチラッと見る

 オレの視線に気が付いたザフィーアさんはニカッと人懐こい笑顔を返して来た

 食えない人だな〜


「改めて紹介しておこう

 妻でオーガーのザフィーア

 それに娘のマルモアだ」


 オレは二人と改めて握手をしながらフェルゼンさんの説明を聞く


「マルモアは見た目こそこんなだがさっき自分で言ってた通りお前さんより年上だな

 ドワーフの寿命は、まあエルフ程では無いが長い方でな

 元々成長がゆっくりなのだがマルモアはそれに輪をかけて遅い

 多分ザフィーアの血の影響だとは思うのだが・・・

 まあ俺としては可愛いい時期が長いので大歓迎なんだがな!」


 そう言いながらマルモアちゃんの頭を撫でるフェルゼンさん

 いや〜親バカですな〜


「私は早く大きくなりたいの!

 母さまみたいになりたいの!」


 マルモアちゃんはそう言って自分の胸とザフィーアさんの胸を見比べている


 あ〜なる程

 ザフィーアさんも大層な物をお持ちで

 全体的に大柄なので余り目立たないがサイズでいけばレイカと良い勝負ですね〜

 ザフィーアさんの血を受け継いでるならマルモアちゃんも将来有望ですね!


 落ち着いて見ればマルモアちゃんとザフィーアさんは良く似ている

 髪の色もそうだし顔のパーツ一つ一つを見てもザフィーアさんソックリだ

 って言うかフェルゼンさんの遺伝子どこ行った?


 そうだレイカの事も紹介しておかないとな

 結局ここに来てからさっき迄ずっと気絶してたのでまともに紹介していない

 当の本人は事態が未だ飲み込めずオレの後ろで身を隠すように縮こまっている訳だが


「ご紹介が後れました

 オレの妻のレイカです

 ほらレイカ挨拶して」

「ごごごご紹介に預かりましたつつ妻のレイカでしゅ

 主人とみょどみょ宜しくお願いしましゅ」


 噛み過ぎでないかい?レイカさん

 ファーストコンタクトがアレだったんで緊張するのもわかるけどさ


 しかしそんなレイカの姿にフェルゼンさんとザフィーアさんはウンウンと頷きながらやたら共感している


 これはコミュ障同士何か通づる物が有るって事か?


「宜しくレイカ!

 私の友達にしてやっても良いぞ!」


 マルモアちゃん、君はブレないね〜

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