そして初めての……

 森の中を手に持つランタンの僅かな光を頼りに進んで行く。

 昔父さんに抱っこされて通った道。

 あれから16年も経ったのか……


 その道を今度はオレとレイカで歩んでいる。


 2人肩を並べて歩く。

 レイカの手をオレはしっかりと握って歩いている。


「レイカ寒くないか?」

「うん、大丈夫。リオン君が側に居るだけで私の心はポカポカだよ」


 そう笑顔で言ってくるレイカ。

 可愛い……今すぐこの場でキスしたい。

 いや、もう少しの我慢だ。


 少し歩けば森が開けレイカの家に到着した。

 レイカが例のスマホ的な物を操作し鍵を開ける。


 レイカが先に家に入り、オレを中へ引っ張り込むと、直ぐに抱き付いてキスして来た。

 どうやらレイカもオレと同じ気持ちだった様だ。


 そのまま暫くお互い唇の感触を堪能していたがレイカが不意に身体を離す。

 着ていた外套を脱ぎ捨てると豊満なバストを湛えたレイカのドレス姿が露わになる。


 その姿は家で見た時とは全く違って見える。

 明かりも付けていない室内は真っ暗だったが、窓から差し込む僅かな月の明かりに映し出されたレイカは、どこか妖艶な雰囲気を漂わせていた。


「こっちへ……」


 レイカがオレの手を取り奥の扉を開けるとそこは寝室だった。

 こちらの部屋も明かりは無くレイカの姿を辛うじて視認出来る程度の暗さ。


 レイカはオレに背を向けたままドレスの肩紐を解く。

 ドレスはそのままパサリと床に落ち、レイカの透き通る様な白い背中がようやく薄暗闇に慣れて来たオレの目に飛び込んできた。


 上は……着けて無い……だと!


 そのまま視線を下に移動させれば丸く可愛らしい臀部が……


 紐……だと!


 その姿はほぼ全裸と言っても過言では無い。

 その下着に防御力は有るのか?

 むしろどこか守っているのか?


 そんな疑問が頭の中を駆け巡っていた。


「そんなじっくり見られると恥ずかしいな……」


 レイカが口を開きこちらをゆっくり振り返る。


「ああ、神よ……」


 衣服の上からしか見た事の無かったその胸は想像より遥かに大きく。

 しかし何に支えられる訳でも無く重力に逆らている。

 くびれてはいるが適度な肉付きのウエストと、そこから流れる様な流線形を描く腰回り。

 レイカの体はつい口からそう漏れてしまう程美しかった。


「死神だよ?」


 検討違いな受け答えをするレイカを無視し、オレも衣服を脱ぎ捨てる。


「凄い筋肉……触って良い?」

「ああ、良いぞ」


 レイカの細い指がオレの身体に恐る恐ると言った感じで触れて来た。


 腕、胸板、腹筋。

 最後に抱き付いた手で背中を撫で回す。


 レイカの指が触れる度ゾクゾクとした感触が走る。

 もうそろそろ我慢の限界だ。


「満足したか?」

「うん、満足した」


 オレはレイカを抱え上げベットに優しく寝かせ上に覆い被さる。


「初めてだから優しく……ね?」

「努力はしてみるが、何ぶんオレも初めてだからな」

「そっか、お互い初めてどうし、か……」

「ああ、そうだ」

「リオン君、愛してるよ」

「オレも愛してる。愛し続ける」

「きて……リオン君」


 そしてオレ達はその夜初めて一つになった。

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