死神ちゃんの過去-2

「私は自我が目覚めた瞬間からこの姿でした。それ以来姿は変わっていません。

 年は取らないんです。

 私は死神だから……」


 やっぱりな……

 あの日会った時から姿が変わって居ないから予想はしていた。


「私は死神だから……

 人を好きになってはいけない。

 いけなかったんです!」


 そう言ってレイカは顔を両手で覆い嗚咽を漏らし始める。

 レイカやっぱりオレの事を……


「オレだって人間じゃ無い」


 レイカはハッと顔を上げ目尻に涙を溜めたまま、


「リオン君は人間です!

 立派な人間です!」


「オレはエルフの血を引いている。

 だから、もしかしたらエルフ並みに長生きするかも知れない。

 だとしたら、それはもはや人間と言え無いんじゃないか?」


「それにオレが死ぬまでオマエは帰れないんだろ?

 だったらオレの側に居ろよ。

 ずっと一緒に居ろよ!」


 そうか……


「リオン君そんなのまるで……」


 やっと自分の気持ちに気が付いた……


「プロポーズみたいだってか?

 そうだよ! プロポーズだよ!

 言わせんな恥ずかしい!」


 オレもレイカが好きだったんだ!


「リオン君!」


 ポロポロと涙を零しながら、レイカはオレに抱き付いて来た。


 オレも小さな腕で精一杯抱き締める。


「良いじゃないか。

 何時迄も姿の変わらない死神と。

 いつ死ねるかわからないハーフエルフ。

 面白い組み合わせだと思うぞ」


 レイカを更に強く抱き締める。


「リオン君大好きです」

「オレもだよ」


 そしてオレたちは二度目のキスをした。


「ところでオレの事いつから好きだったんだ?

 つーか好きになる要素有ったか?」


 ずっと気になっていた疑問をレイカにぶつけて見る。

 お互いの気持ちはわかったが、わだかまりは残したく無い。


「ずっと昔から……

 貴方がこの世界に生まれるずっと前から好きだったんだよ!」


 えっ! それって前世からって事!?


「研修課題として選ばれた。

 最初貴方はその程度の人だった。

 随分悲惨な人生歩んでるな〜って思って観察してたよ。

 でも、どんな悲惨な人生でも必死にもがいて生き続けようとする。

 そんな貴方をずっと見てたらいつの間にか惹かれるようになってた」


 はにかみながら言うレイカはやっぱり可愛い。


「早くお話してみたいな〜って思ってたよ。

 まあ私が担当するんだから、いずれ話す事は決まってたんだけどね!

 ただあんなに早く話せるとは思っていなかったけど〜?」


「その節はご迷惑お掛けしました」


 へへ〜と冗談めかして頭を下げる。


「おかげで早く会えたから許すね!」


 レイカは今日一番の笑顔で許してくれた。


「赤ちゃんの時のリオン君も可愛かったし、成長するにつれてどんどんカッコ良くなっていくんだからますます好きになっちゃったよ」


 よせやい! 照れる。


「この仕事にも自分で志願したの。

 ずっと見てきた貴方の事をこれから先も見守りたいって。

 そもそも保護観察官ってもっとベテラン死神が担当するもので、私みたいな駆け出し未満がやる仕事じゃ無いんだよ?

 先輩に無理言って変わって貰っちゃった」


 そう悪戯っぽく笑うレイカ。

 コロコロ変わる表情は見てて飽きないし、どの表情のレイカも可愛いと思う。

 泣き顔以外は……ね。


「その割には、初めて会った時やこっちに転生したての頃は、随分憎まれ口叩いて無かったか?」


 オレはチョット意地悪な質問をしてみた。


「あ、あれはなんか照れ臭くって、つい……」


 うん知ってた。

 所謂一つのツンデレってやつですね。


「さて、オレはトレーニングに戻るけどレイカはどうする?」


 レイカは少し悩んだ後ニマッと笑って。


「一緒に居ろよ! だっけ?」


「忘れて下さいお願いします。恥ずかしくて死んでしまいます」


「絶対忘れてあーげなーい」


 そう言いながらまたオレに抱き付いて来る。

 おぶわ狂悪オッパイで顔が!

 息が! 息が出来ねー!


 何か赤ん坊の頃にもこんな事有ったな〜


 そのまま意識を失ったオレは結局午後のトレーニングをすっぽかし父さんに大目玉を喰らったのだった。

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