魔法のお勉強
さて、オレは今両親の寝室で父さんと母さんに挟まれて寝ている。
所謂川の字ってやつだ。
どうしてこうなった?
前回の探検で結局ベットの上に戻れなかったオレは、床にばら撒いた寝具の上で力尽きて寝てしまい翌朝その姿を両親に見つかってしまった。
話し合いの結果、オレの寝相が悪過ぎてベットから寝具と一緒に雪崩落ちたんだろうって事に落ち着いた。
父さんは、将来元気な子になると喜んでいたが母さんは酷く心配していた。
今回は怪我が無かったがまた同じ事が起きた場合どうなるかわからない、と。
そんなわけで今に至る訳だが……
困った、折角宝の山を見つけたと言うのにこれでは身動きが取れない。
ベットから脱出出来たとしても今この部屋の扉は固く閉ざされている。
完全に詰みだ。
仕方が無い夜の探検は暫く自重しよう。
しかしながらあの夜の収穫は大きかった。
魔法の基本と思われる本を、オレは一晩掛けて丸暗記したのだ。
一度読んだだけでは当然意味がわからない。
覚えた文章ごと頭の中で幾度も反芻する。
そうする事によってやっと理解する事が出来た。
本には幾つか初歩的な魔法も書かれていた。
光を灯す魔法。
物に火を付ける魔法。
水を出現させる魔法。
そよ風を出す魔法。
土の中から石を取り出す魔法。
そんな所だ。
オレは使い勝手が良く、何より魔法を使った痕跡が残らない光を灯す魔法を練習し始める。
もちろん親の目を盗んでだ。
喋っている所を見られる訳にはいかないので、呪文は口に出さず頭の中で唱える。
初歩段階では地面や紙に魔法術式を描いて魔法発動の手助けをさせるらしいがそこはバッサリ省略した。
代わりに頭の中にイメージで術式を書き上げてみる。
光を灯す対象はレイカに調達して貰った小石で厚手の革袋に10個程入っている。
これならばもし魔法が成功して光った石でも袋の口を閉じておけば光が漏れる事も無いだろう。
魔法には効果時間が有るので光が消えるまで入れておけば良い。
因みに効果時間は術者の魔力によって決まる。
弱い魔力しか持たない者が掛ければ1時間程度しか持たないが、逆に強い魔力を持つ者が掛ければ数年光続けたりもするらしい。
そういった物は市場でも高値で取引されたりするって話だ。
そんな事を一月も続けると、見事に魔法が成功し光る小石を作り出す事が出来るようになった。
嬉しくなって次々光る小石を作って革袋に放り込んで行くと、あっという間に使い切ってしまった。
仕方が無い今日はここまでだ、明日にはただの石に戻っているだろう。
何で戻ってないかな〜
次の日タップリ24時間はたっている筈なんだが、小石はまだ光が灯った状態だった。
オレの魔力ってそこそこ強いのかな?
しかしこれじゃあ練習も出来ない。
こんな時アイツが居ればな〜
と考えているとノコノコ来やがった。
オマエはオレの考えが読めるのか?
いや読めるけど離れていれば読めない筈だ。
まあちょうど良い。
『レイカ、ちょっと良いか?』
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