初めての探検はマイホーム
さて! 異世界探検第一弾の始まりだ!
マイホームを攻略してやるぜ!
等と息巻いてみたが、見て回れる所は実の所然程多く無い。
何せドアと言う障害物が有るだけでその先には今のオレでは到達出来ないのだ。
なんせドアノブに手が届かないからな!
現状オレの居る子供部屋と、隣の両親の寝室のドアのみが開いている。
これはオレが泣いた際に聞こえる様にだろう。
つまりは両親の寝室の物音も聞こえる訳で、まあ何というか、夜の仲良しの音まで度々まる聞こえだったりする……
いや気にしないけどね。
夫婦仲が良いのはオレも嬉しいし。
オレはオレで好き勝手やらせて貰ってるしね!
後見て回れるのはドアから出て直ぐに広がるダイニングキッチンだ。
まあ最初の探検はこんなもんだろう。
両親の寝室に潜入するのは流石に難易度が高そうなので、ダイニングキッチンの方を探索する事に決めた。
ドアから頭だけ出し辺りを伺う。
室内の灯りは消されているが幸い月明かりが窓から差し込んでいるので、思った程視界は悪くない。
そのまま部屋を出てダイニングを一周する。
初めて自分の力で見て回るその部屋は随分と広く感じた。
とは言え、有るものと言えばイス、テーブル、食器棚それにキッチンとまあ至って普通だ。
当たり前と言えばそうなんだけど……
ん? 床に扉が付いてる。
まあ、むろの類いだとは思うけど他に見て回れる物もないし……開けられるかな?
床の扉に手を掛け引っ張ってみる。
上に人が乗っても平気なように丈夫な作りだ、当然重い。
どうせこれ以上出来ることも無い。
そう思い全ての力を使い尽くす勢いで力を込める。
そうするとほんの僅かずつだが持ち上がってきた。
行ける!
どりゃー!!!
気合を込めて更に持ち上げると、何と開ける事に成功してしまった。
もしかしてこれもスキル効果かも?
まあどっちでも良い!
下はどうなってるのかな〜?
下を覗き込むと下り階段が続いている。
何かしらの光源が埋め込まれているらしく等間隔でボンヤリと壁の一部が光っている。
こ、これは……
行くしかねー!
メッチャテンション上がってきた!
まさか自宅に地下への隠し階段が有るとは思っても見なかった!
早速階段を下る。
落ちないように足の方から慎重にだ。
そうして暫くすると階段が終わり一番下まで到達した。
下りている間「ドアが有ったらアウトだなー」
等と考えていたが……
ドアすら無かった。
3方を石壁に囲まれた行き止まり。
うそ〜何で? そんなバカな……
ここまで来て入り口が無いはずない、きっと隠し扉だろう。
しかし、だとしてどうすりゃ開くんだ?
取り敢えず壁をペタペタ触ってみる。
壁……だよな〜
これでオレの探検は終わりか〜と諦めようとした時、正面の壁が不意に消失した。
なっ! えっ?
これはつまり魔法的な物で隠されていたって事か?
じゃあ何で突然魔法が解けたんだ?
……まっ、良いか!
消えた壁の先は部屋になっており、剣や鎧、本や巻物、色とりどりの薬品なんかが綺麗に整理されて置かれている。
これは、父さんと母さんが冒険者時代に使ってた装備か?
きっとそうだ!
使い込まれているが、良く手入れされている身の丈程も有る両手剣。
これは父さんのだな。
こっちに有る木にツタが絡まったようなデザインの杖は母さんのかな?
キラキラした目で暫く眺めていたが目的の物は別に有る。
そう書物だ。
元はと言えばこれを読みたいが為に動き回れるようになったんだ。
本棚の一番下にある、茶色い革に金色の装飾を施された一冊の本を引っ張り出し床に置く。
本の表紙にはこう書かれていた。
「魔法学入門 -1-」
その古びてはいるが、美しさを損なっていない本は、もしかしたら母さんも一番最初に手にした物なのかも知れない。
そう思いながらページをめくるのだった。
翌朝、床にばら撒かれた寝具の上でスヤスヤ眠るオレを見つけた両親を驚愕させたのは言うまでも無い。
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