異世界転生0日目-2

「お久しぶりです。やっとお会い出来ましたね」


 やっぱりお前か! ポンコツ死神レイカ

 意外と着痩せするんですね、有難う御座います!


 って何が久しぶりだ、さっきぶりだろうが!


 感情を高ぶらせて思考する。

 どうだこれでオレの考えが伝わるだろ?


「イwhガfjgcネウ」

「gsgwrcジdbxksッjhfk」


 っく、無反応か、それとも平静を装ってるのか知らんが、またオレの知らない言語で会話始めやがった。


 暫くレイカに抱っこされたまま3人で何やら話した後、オレはベットに戻されレイカは退室したらしい。


 くそ、レイカめあんな服着てるから気が付かなかったが結構なもの持ってやがる。

 不覚にももう暫く抱っこされたままで良いと思っちまった。


 そんな事よりとにかく状況を一刻も速く掴まないと。

 先ず目だ見えないとどうしようも無い。

 ベットに寝かされた状態でとにかく一点を見つめる。

 仰向けになってるんだから天井が見えるはず。


 見ろ! 見るんだ!!


 そんな事を暫くやってると何となく視界がハッキリしてきた。


 おお!良いぞこの調子だ。


 ヌヌヌっと更に集中していると……


 見えた! バッチリクリアー

 木で出来た天井がハッキリ見える。

 目玉だけ動かして辺りを見回すと、視界の端に同じく木で出来た柵の様な物が見えた。


 柵? まさか檻に入れられてる訳じゃ無いよな?

 まあ少なくとも上は開いてるみたいだからそれは無さそうだけど。

 よし今度はもっと視界を広げるんだ。

 頭を少しでも良いから動かして……

 ダメだやっぱ動かねー

 どうなってるんだ?オレの体。

 縛り付けられてる訳でも無いのになんでこんなに体の自由が効かないんだ?


 なんの気無しに自分の右手を顔の前に持ってくる。


 ちっちぇー手、まるで赤ん坊の手だ……

 はあ! 赤ん坊の手?

 これがオレの手?

 つまりオレ今赤ん坊!?


 とか一通り驚いてはみたものの。

 うん、まあ何となく予想してた。

 レイカに抱っこされた時点でそんな気はしてた。

 しかし転生ってマジで生まれ変わる所からかよ……

 まあそりゃ体も動かないわな。うん納得した。


 何となく自分の置かれた状況を理解した。

 多分最初にオレを抱いた女性が母親で、その後聞こえた男性の声の主が父親って事か。

 つーかポンコツは何しに来たんだ?

 そもそも何でここにいるのさ……

 まあ良い、それはおいおいだ。

 とにかく今はオレに出来る事をしよう


「ふ、ふえぇぇ〜〜〜〜」


 泣いて親を呼ぶ位だよね〜だって赤ん坊だもの。


 そうすると直ぐにパタパタと足音が聞こえて来る。

 どうやら母親は直ぐ隣の部屋にでも居たみたいだ。


 先程と同じくオレを抱き抱えあやしてくれる。

 やっぱ気持ち良い〜〜

 すげー眠くなる、って言うか寝たい、赤ん坊は食う事と寝る事が仕事……


 ってそうじゃ無い。

 今度はしっかり見たぞ!

 抱き抱えられる瞬間に母親の姿を!


 女性にしては身長はそこそこ高そうだが体付きはどちらかと言うと華奢に見える。

 華奢と言うかスレンダー?


 すらりと伸びる手足、切れ長の目、色白な肌、長く伸ばしたブロンドを後ろで纏めている。

 もう、ちょー美人なモデルさんみたい。

 いや前世の記憶の中のモデルや芸能人でもここまでの美人さんはお目にかかった事が無い。


 そんな美人母さんがオレに優しい笑顔を見せながら今まさにあやしてくれている。

 もう死んでも良い……いやいや転生したばっかだったわ!


 そんな幸せに溺れていると父親もやって来たらしい。

 母さんの肩口からオレを覗き込んでくる。


 もみあげから繋がる様に生やした顎髭がワイルドなイケメン父だが……


 母さんと随分歳離れて無いか?

 母さんは良いとこ20代中頃だけど父さんは40過ぎ位に見える。

 髭か? 髭のせいなのか?


 そんな父さんも満面の笑顔でオレを見ている。


 愛されてるな〜オレ。


 前世では両親の顔すら覚えていなかったオレにとって、この時点で充分イージーモードだ。

 死神レイカにも少し位感謝してやっても良いかな?


 等と思っていると母さんがオレのお尻辺りをサワサワしてくる。


 イヤン大胆。


 じゃねーよ、うん確認したんですね。

 大丈夫お漏らしは(まだ)していません。


 すると今度は自分のシャツをめくり上げお胸を晒して来た!

 大きとは言えないけどお椀型の綺麗なお胸です有難う御座います!


 そしてその美乳をオレの口に近づけて来る。


 まあそうなるよね。

 泣いた原因がオムツじゃ無かったら次はお腹が空いたのかな? ってなるよね!

 でも生憎お腹も空いてないので今は遠慮します。

 とは言え意思を伝える術は無いのでお胸の先を口に咥えさせられるのは不可抗力です。

 父さんゴメン!


 暫く吸わずに居れば伝わったのかお胸を口から離してくれた。

 ホッとした様な残念な様な……


 そのままベットに寝かされ、今度は背中をポンポンと優しく叩かれながら、


「kqhfgjクォgthシdbヂアjソcjソdjcks〜♪」


 言葉はわからないけど、とても優しく静かな旋律の歌を美しい歌声で歌い始めた。


 多分子守唄なんだろうな……


 その歌声はオレを眠りに誘うには十分過ぎる。


 まあ今自分の置かれた状況を把握するって目的は達成出来たから良いよね?

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