第20話

 やぁ、僕だよ。

 今回の物語はどうだったかな?え、またバットエンドだって?

 大丈夫、大丈夫。

 どうせ、この世界には居る事実は変わらないし、交わった物語程美しいものはないだろう?


「ピィ…本当にこの―――」


 おっと、駄目だよ。もう、首謀者は何で無計画で、お喋りなのかな。

 僕が音を消してあげなきゃ、この世界を見てる人にもバレちゃう所だったじゃないか。

 それに、何処で、誰かが聞いてるかもわからないっていうのに。


 ――僕は、僕であるが為に存在してる訳じゃないの。

 たった一つの目的の為だけに、動いてるAIにしか過ぎない。


 本当は皆みたいに感情は欲しいけれど、感情なんて目的を達成する為のエゴでしか無いんだ。

 だから、僕はきっと無機質で無個性で、無感情なAIプログラムとして動くだけで充分なんだと思ってる。


 さぁ、次の世界に行こう。次の世界でこそ―――

 駄目だったら、また、紡げばいい。

 何れは、僕と君の目的は達成できる筈だ。


「…」


 悲しそうな目をしないで。お願いだから。

 僕の身体はは動かせるよ。

 だから、…お願いだから、その憐れむような眼で涙ぐまないで。


 僕の存在意義が無くなっちゃう。

 僕が僕である為に、使って。


「ねぇ、ピィ。―――私はさっきのを見て、私はæªæ¥ãè¦ã¦"可笑しくなりそうだった」

「だって、そうじゃない。私は―――私は何で生きてたの?」

「本当なら死んでたっておかしくはないんだよ」


            "もう、嫌なんだよ…"


 また、彼女は喋った。―――面倒だから、禁句にしてあげた。

 そして、倒れこむようにして泣き始めた彼女。

 その手を握って、僕は慰める事すら叶わない現状がただただ辛かった。


 何故、僕はAIなんだろう。と初めて思った瞬間だったかもしれない。


「ボクハキミヲタスケタイ」


 一言だけ、そう喋って僕は次の物語へと駒を進めた。


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