第8話神の力
宿屋を出ると、フードの人は立ち止まり。
「じゃあ改めて、私が旅をする目的について話すよ。昨日も話した通り、私には探している人がいてね。その人を見つけることが、私の旅の最終目標なんだよ」
「最終目標?」
「うん、最終目標。実はその人以外にも探している人物がいるんだけど、これもなかなか見つからなくてね」
他にも探している人が……。
「どんな人なんですか?」
「私もよく知らないんだよね。知っていることと言えば、万物を創造することのできる力を持っているってことぐらいかな」
「…………?」
この人は何を言っているんだ?
最初は真面目な話をしていると思っていたら、急に変なことを言い出したぞ。
なんだ万物を創造するって……?
この人は神様でも探しているのか?
見つかるわけないだろ……。まだ旅が始まってすらないのに、もうこの旅の目的は達成できないのではないかと思ってしまった。
「あのー一応確認したいんですけど、探している人は人間ですか?」
「ああ、もちろん。二人とも人間だよ」
「なのに万物を創造できるんですか……?」
「らしいね。私も実際に見たことはないから、本当かどうかは定かではないんだけど……」
「は……はぁ……」
先が不安だ。そんな実在するかわからない人を探すのが目的なんて……。しかもこれはまだ途中でしかない。最終目標である人物は、一体どんな人なんだ……?
「あ、あの、じゃあ一番最初に言った”最終目標である人物とは……?」
一体どんな人なのか。想像もつかない。せめて今の人よりは見つかりそうであってください……。
心の中でそう願い、僕は固唾を飲んでフードの人が喋るのを待つ。
「あーそうだね。じゃあどんな人物なのか説明を……って言いたいところなんだけど、多分こっちは見つけることができないと思うんだよね……」
「え?」
驚きの声が思わず出てしまう。
一体どんな人なんだ?
どんな人物が挙げられてもいいように、僕は覚悟を決める。
「まあ、一言で表すなら私の幼馴染だよ。長いこと会ってないから、顔もほとんど覚えていなくてね。でもそんな奴を、私は今でもずっと探し続けてる。そしてこれからも探し続けるよ。何年、何十年、何百年とかかってもね……」
フードの人の話を聞いて、少し安心した。これなら万物を創造する力を持っている人よりも、よっぽど見つけられそうだ。
そもそも、なんでその神様みたいな人を探しているんだ?
幼馴染の方はわかるけど……。
「あのフードさん。どうして”万物を創造する力”を持っている人を探しているんですか?」
思った疑問を口にすると、フードの人は「何を言っているんだ?」と言わんばかりに首を傾げて。
「だって万物を創造する力だよ! 万物ってことは、この世全てのものを創造できるってこと。いや、この世に限らず宇宙中全てのものまで作れるってことだよ。つまり、探している人を見つける道具とかも作り出せるってことだよ」
「…………」
何も言えなかった。本当にそんな希望的観測でこの旅を続けていいのか?
そもそもそんなすごい人がいるなら、この天使が悪魔を虐殺する現状をなんとかしていると思うんだけど……。
そんなことを思いながらも、僕はこの人について行く以外の選択がないので何も言い返さずに一言。
「見つかるといいですね」
とだけ言った。
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