第3話 俺の初恋は叶うはず

放課後になり、大河はバスケ部、華怜はバドミントン部なので二人とも体育館に向かう。

俺は無所属なので、一人玄関に向かう。この学校は割と部活も盛んで運動部の喧騒が校舎に響いている。

下駄箱から靴を取り出すと

「おーい」

透き通るような声が耳に響いた。

振り向くと声の主は好水さんだった。

放課後に声を掛けられることなどめったに無いため相当ビックリしている。

しかも窓から差し込む夕日が当たっているため普段の100倍可愛く見える。

「どうしたんですか?」

あくまで冷静沈着に。

「一緒に帰ろ」

その言葉で俺の天才的な思考回路がオーバーヒートした。




やばいやばいやばいやばい、これは俗にいう放課後デートってやつじゃね?

もしかして脈ありですか?内心めっちゃドキドキしている。

「どうしたの?そんなに静かで」

好水さんが顔を覗き込んできた。ああああああああああああああああ、可愛すぎる。しかもいちいち甘い匂いが漂うし。

どこまで俺を惚れさせるんだよ。その後も他愛のない会話を交わし好水さんの家の近くに着いた。はぁ、もう終わりか。あと10時間は喋れたぞ。

「じゃあさようなら」

あーここで引き留めてくんねーかなー。渋々帰ろうと背を向けた瞬間、好水さんが俺の制服の裾をつかんできた。

「ねえ、今からちょっと家入らない?今日親居ないから」

俺の望んだように世界は回るのか?脳が今日二回目のオーバーヒートを起こした。




「お、おじゃまします」

めっちゃいい匂いが扉を開けた瞬間漂ってきた。

花のような太陽のような、何でこんないい匂いするんだよ。

俺の家のファ〇リーズじゃこんな匂いはしないぞ。もしかしてリ〇ッシュか?

くだらないことを考えている場合ではない。落ち着いて状況を分析しろ。

可能性としては大事な話があるか、誘っているかだ。普通に考えて興味のない男子を家に入れるというのは考えずらいだろう。

だって何されるか分かんねえし。もしそんなことも分からないアホなら俺は好きになっていない。

つまり多少脈はあるということだ。さらに脈がある男子を家に入れるということは・・・

誘ってるな。完全に。落ち着け、俺の息子。今はまだその時じゃない。

「今日はどうしたんですか?」

好水さんは頬を赤らめ

「用事なんてないよ。ただ話したかっただけ」

かわええええええええ。

完全脈ありだろ。どうしよう、告白するか?絶対OKされるだろ。

仮にそういう行為になるなら俺は告白ぐらいしておきたい。

「あ、そういえば夕飯食べてく?」

「食べてきます」俺史上最大の反応速度だった。

幸い俺の家に今日両親はいないので良かった。というか手料理を食えるのなら俺は親に怒られるぐらい余裕で耐えれる自信がある。

「じゃあ肉じゃが作ろっかな」

肉じゃが・・・だと?肉じゃがというのはほとんどの男子が好きで手料理感が出る。美少女に肉じゃがを作って貰いたくないやつなどいないだろう。

俺の女子に作ってほしいランキングでも堂々の一位だ。

というか仮にこの人の料理なら虫でも食える。

「じゃあお願いします」

「分かった、ちょっと待っててね」

何か語尾にいちいち♡でもついてそうだな。

また興奮してきた。精神統一精神統一。

「はい、できたよ」

10分後・・・

目の前に白米と肉じゃがが出された。

絶妙なにおいが俺の鼻をくすぐる。

「じゃあ、いただきます」

肉を一掴みし口に運ぶ。美味すぎるだろ。嫁になってほしいわ。

「俺と結婚してくれません?」

声に出ていた。

「もう何言ってんの~?」

背中をバンバン叩かれた。言ってよかった~~~。

その後も会話を続け手料理をぺろりと平らげた。食い終わったということは・・・

「じゃあそろそろ」

来たぁぁっぁぁぁ。心なしかほんのり頬が赤い気がする。やばいやばいやばいやばい。

「帰ろっか」

え~~~~~~~~~~~~~。

「ほらもう夜遅いし」

ここまで期待させといてなんだよ!俺の気持ちはどこへ行くんだよ!だが・・・本人も恥ずかしがってるだけかもしれない。いや、そうに違いない。なら、俺はここで告る!集中集中。

「俺と付き合ってくれませんか?」

立ち上がりそう言った。

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