第4話

目が覚めて最初に感じた違和感。

隣に人間がいることだった。柔らかい女性特有の雰囲気と色気。肌色と妖艶に起きたての体が反応するほどだった。

「ん……。」

彼女、というよりか名前も知らない女性の声を聞くまでベットの端で縮こまっていた俺であったが、反応を知って驚きよりも先にどうやってこの状況を切り抜けようかが先に出た自分に失望してしまった。

「もう一回する?」

名前も知らない彼女から出た言葉に動揺しながら昨夜の自分を思いだす。

確か、居酒屋で安い酒を煽って、彼女と出会って、それから

それから?

記憶をたどりきれず情けないい俺の顔をみて彼女は美しく笑う。

「私とのこと覚えてないんでしょ?」

「正直言うと覚えていなくて……。本当に申し訳ないです。」

「ふーん。ならこれから思い出せばいいよね。」


そう言い切って彼女はベッドサイドに居心地悪そうに鎮座する俺に擦りよってくる。

「大丈夫。気持ちいいことしかしないから。」


彼女の言葉の意味を理解する前に、きっと初めてではない快楽の波に飲み込まれていった。


情けない28歳の新宿のラブホテルだった。


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