第二夜
――やあ、みなさん
またお会いしましたね
私、この呪いのWeb小説の
――呪いのWeb小説へようこそ
前回は、思い込みが激し過ぎた少年
Aくんを紹介しましたが……
まぁ、主にも、あの時は
思い込みが激し過ぎてヤバかったなと、
そういう出来事がなくはないんですよ
まぁ、こんな投稿をしている時点で
充分、やべぇ奴だろと言われてしまえば
それまでなんですが……
それなりに昔のことなんですけどね……
それまでは全く興味がなかったんですが、
ある日突然、とあるタレントさんの
熱烈なファンになりまして
SNSやら掲示板で
情報収集したり、エゴサしたりして
まとめサイトや掲示板で
アンチのコメントを見つけると
反論して擁護してみたり
そのタレントさんの演技を動画サイトで見て
「この虚ろな目から、
力強い目に変わって行く、目の演技がスゴイ」
などとSNSで書き込みをしていた訳なんですが……
一年以上した頃、
その熱量がすっかり冷めてしまいまして……
その状態で改めて
同じ動画を見るとですね
そのタレントさんの演技、
はじめから最後まで
虚ろな目のまんまだったんですよ
以前、自分が見たものとは
全くの別物を見ているような気分でした
その時、SNSに書き込んでいたことも含めて
これはヤバイなと思いましたよ
違った意味で背筋がゾワゾワしましたね
思い込みが激し過ぎるあまり
脳が本来の事実をねじ伏せて
強引に自分の都合がいいように
解釈していた訳ですから……
しかもそれを
SNSで拡散までしていたという……
脳が事実を捻じ曲げようとする力
とんでもなくスゴイなと……
それで、我ながら
自分で自分がコワくなりました
罵詈雑言が並ぶ掲示板とかで
事実であるかのように妄想を並べ立てる、
虚言癖のあるユーザーとかいますよね
そういう人は往々にして
他のユーザーからは
糖質な頭おかしい人扱いされる訳ですけども
まさしく自分が、そこで言われている
頭おかしい人になりかかっていた、
もしくは、なっていた訳ですから
自分はこのまま
狂人になってしまうのではないか
そういう恐怖に駆られました
当時見たもの、
それは、幻覚と言えば
間違いなく幻覚でしょうし
こういうのがどんどん悪化して行くと
統合失調症とかになるんだろうなと
漠然とそんな不安も感じましたね
当時を後から振り返ると
他にも似たようなことがあって……
何回も繰り返し同じ映像を見ていて
ここはこうあるべきみたいなことを
ずっと思い続けていたら……
ほんのわずかだけど
レイコンマ何秒か
実在しないはずの映像が見えたりとか……
そんなことが結構ありました
今思えば、
あの時が一番ヤバかったのかもしれないぁ
そのタレントさんに対する思い入れ、
熱が冷めてからは
まったくそんなことはなくなったのですが
統合失調症を患っている人も
幻覚を見ている、幻聴を聴いている、
そういう自覚はないと言いますし
自分が気づかないだけで
症状が進行、悪化している
なんてことがあるのかもしれませんけどね
今自分が見たり聞いたりしているものが
本当は幻覚や幻聴も混ざっていて
他の人には見えていないのかもしれない
聴こえていないのかもしれない
まぁ、これを言い出すと
どこまで自分を信じていいのか
分らなくなってしまう訳ですけど……
それに、脳内補正や脳内美化って言葉が
ネットでこれだけ普及している訳ですから
みなさんそれなりに
思い当たる節はあるってことですよね?
最初は脳内補正だったものが
幻覚や幻聴になる危険性は誰しもはらんでいると……
もしかしたら、
あなたが見ているこの呪いのWeb小説も
あなたの思い込みが生み出した
幻覚なのかもしれないですね
明日になったら
どこを探しても呪いのWeb小説が見つからない
検索しても、カテゴリーを調べてみても
そんなことだってあるかもしれません
その場合、本当にあなたの幻覚だったか
サイトから削除されたかの二択だと思ってください
それでは、みなさん
今日のところはこの辺で
現世でのご縁があれば、
またお会いしましょう……
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