ふよよん!格上!
「なんで当たらないの!!!」
先程の奇襲に対して無傷のこの黒髪の男に、カンガルーで勝負を挑む。バイトとは言え、本気で打ち込んだボクシングのスパーキングの技術に加え、スライムを足に装備した状態なので、フットワークは軽く素早く、常人にはとても反応できるスピードではないはずだった。加えて、足元からの奇襲やテッポウウオによる遠距離からの射撃など、眼帯の男から言われた攻撃の単調さを克服したはずだった
「…お前が弱く、俺が強いからだ」
ハーフドラゴンの男はスライムを身にまとうもみじを見て、相手の戦力を分析していた。おそらく彼女は人間なのだろう、だがスライムを仲間に引き入れている。先程の奇襲からこのスライムの持っている力は、弾性と分裂。次に彼女がしそうなことを予測することで、彼女の予想不能の攻撃を想定内に落とし込んでいたのだ。
「くそっ!5連…」
焦りが焦りを呼び、動揺してしまった彼女を魔力をまとった黒い刃がおそう
とっさにスライムくんが彼女を守ろうとアルマジロを展開する。だが黒い刃はスライムの体をすり抜けもみじに傷を負わせだった。
「がぁっ!」
ポタポタと赤い血を地面に染み込ませている。ナイフ自体の攻撃力は低いが防御ができないことが厄介だった。
「…スライムくん…あれをやるぞ」
ふよ ふよよよ
しかしながらスライムはその提案に対して了承しなかった。しきりに首を振る、
何かをしてくることを察知して男は攻撃のスピードを上げる。出す前にしとめる気だ。スライムの中の指輪に意識を集中させる。
「ここで死んでしまうぐらいなら一か八かをする…嬲る人ブラックドラゴン」
透明なスライムがじわじわと黒く染まる。異変を感じた男は攻撃を中断して距離をとる。自分の肌が鳥肌を立てるのを感じた。もみじのまとっていたスライムが分裂を繰り返しすっぽりと紅葉を覆ってしまった。さらにさらに膨れ上がる。
「ぐぎぎぎぎぎ!」
中にいるもみじは全身に走る激痛を必死に堪えていた。数ヶ月前の戦いの時に、スライムは黒いドラゴンの体液を絞り取った。その時にドラゴンの魔力も体の中に取り込んでいたのだ。もみじがカンガルー以外の攻撃方法を考えたときに思いついたドラゴンを試したときに、その異変が現れたのだ。
魔力耐性がない人間であるもみじにとって魔力を直接浴びることになる。初めて変身した時はその痛みに気絶した。その後スライムが暴走しかけたが、神様によって止められたのだった。
「があああらあああああ」
森の木をなぎ倒し、男に執拗に攻撃を行う。体格差がありとぞうくらい違うので、もはや決着は時間の問題かと思われた。
「黒い…ドラゴン… .」
男の目に映るのは恐怖でもなく敵意ではなく、少年のような渇望を送っていたのだった。
「お前を捕縛して詳しく話を聞かせてもらう」
男は自分の持つ切り札を使うことにした。
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