ぬちょねちょみちゅる それぞれの理由

「あの子は何者なの?」

こちらにすごい剣幕で歩いてきた黒い龍の女を指差す。

「あーその子は」

「あなたが!あの!伝説のSUPERmomotaroシリーズの弥山先生の娘さんなんですか!サインください」


「鹿太郎の本のファンだ。ぎゃはははは!話があってせっかくだから勇者にした」


「発売冊数がものすごく少ない上、入手困難!」

ようは売れてないってことね


「先の読めないストーリー!リアルな貧乏描写!それに反して小学生にもわかりやすいいつも金銀財宝ザックザクという表現!」

多分実話だ。金持ってるのがわからなかったんだな。


「生き生きとした登場人物。どこかで聞いたことのあるような慣れ親しんだ展開」

たぶんオマージュという名前のパクリだな。


「何より、あったかいストーリー」

うんうんと神様も激しくうなずいていた。


「大ファンなんです!」

「… ありがとう、ははっ」


まさか自分の父親の本にファンがついているとは思いもしなかった。


「あ、山本さんたちは大丈夫なの」


「あー大丈夫。天界に攻めてきた者たちと交戦して、命からがら逃げてきたところだから。そのうち治るだろう。て、あー!!そうだった!」


「天界が攻められた?」


「私が桜のいた村を吹き飛ばしたときにこの世界に干渉してしまった。だからその反動を受けて弱体化した私を狙って真王たちが攻めてきたんだ。多分今から桜の村の人間を生き返らせた反動が来る。ごぱ」


いうや否や吐血した。


「私はかなり弱っている。力を貸してくれ。このままでは死者が溢れて世界が滅ぶ」

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