ふよんぱくっおぼろろろ ドラゴンハイーター

「馬鹿なの?」

「んだと!」

喧嘩売ってきやがった。


「嬢ちゃん、その、あんまり言葉のセンスねぇなぁ」


うるさい黙ってろ。


「もういいわ」

竜の頭に指輪を押し付けた。


「あの女を消し飛ばして。暗黒息〈ブラックブラックブレス〉」



黒い龍は技を繰り出すため、大きく息を吸い込み魔力を込める。くそ、間に合わなかったか。


だが、それ以上、龍はなにもしなかった。頬に息を溜めて、今にも魔法を放とうとしている。その姿勢から動かなかった。


「どうしたの?なぜ撃たないの」


沈黙。


「早く撃ちなさい」

彼女の命令に、勢いよく、龍が口をあける。

だが、龍の口から出てきたのは黒い光線ではなく、


おぼろろろろろぉ



吐いた。うわぁテレビだったらキラキラだよ。ただ規模が規模だけに放送事故間違いなしだった。


龍の口からはスライムが流れ出てきた。まだまだ増える。対照的に龍は痩せ細り、そのままふらふらと地面に墜落した。




「いったい私の龍に何をした!」

彼女の髪は乱れ、若干涙目になっていた。おー生きてた生きてた。空から落ちたことが怖かったようだ。


予想外のことに混乱しているようだが、私への敵意はまだあるようだった。


「スライムくん」



ドラゴンのゲロもといスライムくんが集まってきた。いまや小高い丘ほどの大きさになった。


「さぁ形成逆転だ」


もみじは、にやりと笑い、言った。


「ドラゴンなんて生き物は初めて見たけれど、どんなに硬かろうが、魔法が効かなかろうが、ドラゴンだって生き物だ。口の中に入ってしまえば、体の中には水分がある。それを奪わせてもらった。」


いま口の中から出てきたスライムはドラゴンをすっぽりと覆ってしまった。龍は水分を奪われてしまい、痩せ細り虫の息だった。


そして女の子のほうもスライムに取り込まれてもがいていた。


「くそくそくそ」


私はどうするか。そりゃぬるぬるのぐちゃぐちゃにしてもいいが、聞きたいことがある。


「美少女がぬるねちょ。ぐへへ」


「この変態野郎」

あれ、心の声が漏れてた?


まぁそれは冗談として、


「ちょっと落ち着いてちょうだいよ。私だってこの世界に来たのはつい数時間前なんだ。見ず知らずのあんたの知り合いを吹っ飛ばすわけないじゃない」


「待って、じゃぁ山を吹っ飛ばしたのは誰なの」


「私だよ。ぎゃはははは!」


神さまが現れた。

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