ぬちょぐちょちょ ぼよん 第16話 決めるぜ

「ドラゴンが生き物?」


山本さんが何を伝えたかったのかよくわからなかったけれども、ヒントなのだろう。


自分の手のひらをコロコロ転がるスライムを見つめて思う。なかなかに私の人生、転生してもハードモードである。自分が選択したとは言え、弱いモンスターを使役したと思ったら、最強のドラゴン使いに逆恨みをされて、命からがら隠れている。笑えてくる。


考えろ想像しろ自分には何ができる。


「おっちゃん。おっちゃんの知ってるドラゴンって何」


カシラに聞く。


「おれはさっぱりだな。時たま行商人を襲っていることくらいしか。後は弓矢や魔法は鎧のような鱗で弾かれてしまうから意味がないとかか?」


「もっとないの。」


「えーと。後はかなり長い間飛んでいられることとかか。一度しっかり蓄えれば、数日は休まず飛行できるとか。この地域は、湖が多くて休憩するところも多いからな。わたりのドラゴンが休息地として休みに来ることが多い。」


そうか!


「おっちゃんありがとう!」


もし私の考えがあってたら、山本さんはなんてことを考えるんだ。


「スライムくん力を貸してくれるかい」


ぷよん。


すっかり小さくなったスライムくんだったが、胸を張っているようだった。




「ストーーープ!」


両手を大に広げ、集落の中心地の広場でドラゴンに向かって叫ぶ。


「黒息〈ブラックブレス〉」


「ぎゃああああああ」


やっぱりダメか。ヘッドスライディングする形で避ける。話し合いが無理なら仕方がない。再び攻撃を仕掛けようとするドラゴンに向かって指を構える。


「スライム銃(テッポウオ)」


狙いを振り絞ってスライムをドラゴンに向かってうちだす。これが正真正銘最後の攻撃。


戦車の大砲に対する、豆鉄砲。私の作戦が失敗すれば、数秒後には私はミンチになってるだろう。後はスライム君次第。


「いっけぇえええ!」


「なにを。最後の抵抗のつもり?あの世でみんなに謝ってきて」


正直滑稽だと思う。こんなものミサイルに対して、輪ゴム鉄砲で立ち向かうようなもんだ。だけど、私の想像力はあんたのはるか上をいく!想像力は力だ!


「笑いたきゃ笑いな。気づいた時にはあんたは、とっくに!ぬちょねちょだ!!」


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