ぬるにちゃぬ にゅるねる →第七話内心

第七話 内心



「ぎゃはははは。なるほど口だけの小娘ではないなぁ」


天空の空間で、バリボリと柿の種を食べながらテレビの画面を見て、少女は言った。そこにはもみじがかかと落としを決めている様子が写っていた。


「やはり柿の種はピーナツかきのたねピーナッツと交互に食べるのが最高!なぁ山本!いや、天使の山本きぎゃははは」


楽しそうに後ろに立っていたメガネの男に言った。男は無表情に答える。


「私はそんなちまちまとした食べ方はしませんよ。彼女の人生は、多難でしたからね」


「多難?つまらん不幸自慢ならよそでやれ。私から見れば些細なことだ。」


口の中にざらざらと柿の種を流し込み、噛み砕く。


「スライムで私を倒すなんてことを言うとは、なんて馬鹿かと思ったが、私にかすり傷ぐらいは作れるんじゃないかあいつ」


「それこそありえないことですよ。その可能性は著しく低いです。」


ため息をつく。


「ぎゃはははは、言ってみただけだ。想像力は力か。なぁ?山本」


「…、」


山本は黙ってマイクを取る。







湖に浮かぶ男たちをとりあえず

岸に運ぶ。



大量に水を飲んでしまった男の口に、スライムくんを突っ込み水を吸収してもらった。


これで死ぬことはないだろう。


「…もみじさん。大丈夫ですか」


腕輪から声がする。


「……うっさいよ山本さん。別に一度死んだからといって、無鉄砲になれるわけないだろ。襲われるかもしれない。死ぬかもしれないことが怖くないなんて事は無いから」


ふよん。


「ありがと…、大丈夫…大丈夫…、」


岸に座り込んで、自分の肩を抱いた。

震えがしばらく止まらなかった。







「ふぅ」


自分に問いかける。


…弥山 もみじ あんたは前に進むのか。ここで腐るのか。世界に喧嘩をうるんだろ。世界の理不尽に。理不尽に巻き込まれた私の人生だったものに。


自問する。震えは止まらない。


想像力は力だ。


想像力は力だ!


そうだ。これは武者震いだ。


わたしは、いくぞ。立ち止まるな。考えるな。心をもやせ。心をもやせ!


よし!


やるぞ!


あいつらが気がつく前にすることがある。父親の言っていたことを思い出す情報が必要だ。


でも、その前に女に手をあげることが何を意味するか教えてやる必要があるな?


私は男たちの持ち物からナイフを見つけ取り出す。





「やめ、やめてくれよぉ」


新入りの悲痛な声が聞こえてくる。


「ぐぅ、ぐるぁ」


あの屈強なカシラでさえ苦しんでいる。


くそ、あんな色気もねぇガキに。


一仕事を終えたあとの一浴び。


突如現れた赤髪の小娘に向かおうとしたら、上空に飛ばされてしまった。


空中から見えたのは股間を強打されたカシラと、かかと落としをぶちかまされた新入りだった。


上空から女を魔法で撃とうとしたら、何故か、背後から水に覆われた。


もがけどもがけど、水からは出れず。気が遠くなった。


くそ、


目を開けるのが恐ろしくてたまらなかった。だがこのまま終わるわけにはいかない。


ゆっくりと目を開ける。



「なっ」


そこの光景に目を疑う

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