にゅぷにゃぷぱ ぬるぬー→第六話 戦闘

「よしっ」


闇雲に探してまわっても、体力に限界がある。


「スライムくん。私を真上に跳ねさせることできるかな」


ふよんふよん


「いくよっ!跳び人(ホッパー)!」


スライムくんは私の意図をくんでくれたようだ。


木よりもはるか高く飛ぶことができた。


体を捻って周囲を見回す。


基本的には森が広がっているのだが、日が出ている方向に、何か集落のようなものが見えた。


そこから、右側のほうに小さな湖のようなものも見えた。


後は集落と反対側に高い山が見えて、1カ所塔のようなものがあった。



「あっ…」


次第に自分の目線が下がってきた。まずい。


着地をかんがえていなかった。


下に向かって加速していた身体が途中でとまる。


疑問に思って足元を見ると


「す、スライムくん?!」


地上で待機していたはずのスライムが全身を伸ばして私をキャッチしてくれたのだ。そしてゆっくり地上へ。


ふよん


ギュッとだきしめる。


ふよんふよん


「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。私は前の世界でいろんなお仕事していたから、結構丈夫なんだよ。でもなかなか優しくしてもらえなかったから、君の心遣い嬉しいよ。湖見つけたし、行ってみよう」


ふよふよーん!



バイン


バイン


バイン





「わぁお!」

湖は日の光をあびてキラキラと輝いていた。

美しいエルフの娘たちが楽しそうに水浴びをしている。湖を澄み渡り、小魚が手の届きそうなところで泳いでいる。

「あら?人間さん?いらっしゃーい」

「うふふかわいいかわいい」

「お姉さんたちと泳ぎましょう」


私はエルフと仲良くなり、おいしい果物を譲ってもらいエルフの集落にお邪魔することになった。






これが私の理想。


では、現実。



「わぁ…お?」

湖は日の光をあびてキラキラと輝いていた。

屈強な男どもが低くうなりながら水浴びをしている。湖は淀み、カエルがての届きそうなところで泳いでいる。

私に気づいた男たちは何やら話をした後に私に声をかけてくる。異世界に来てのはじめての人間とのファーストコンタクトである。

「あん?なんだこの女?とつかまえて売っぱらっちまおうぜ。アニキ」

「いや、色気のねぇガキなんかだれもほしがらねぇよ」

「こ綺麗なかっこしてるからな。お前らあの女の身ぐるみはぐぞ。ペチャパイ女はいらんが身につけてるもんは高く売れそうだ」

指を鳴らしながら男たちが近づいてきた。だれだぁペチャパイっつったのは!?


エルフとは程遠い、あまりの光景に私は失神しかけた。




幼稚園から帰って好きな男の子が友達とかぶった話を父親にした。


いいか もみじ!


戦いは最初が肝心だ。相手も自分もお互い情報がない状態はピンチでもありチャンスでもあるんだ。

相手のことを観察し、情報集め、倒すんだ。とーさんはかーさんをそうやって恋のハリケーンにおとした!


でも、お父さんは出版社に勝てないよね?


だ、大丈夫だよ、大丈夫、まじ大丈夫ガクブルガクブル


ごほん いいかもみじ!

先手必勝!俺の娘なら最初にぶちかましたれ


だれを?


幼稚園のボーイフレンドさ


おとーさん!すごー!あれ?すごくない?あれ?


がはははは






男たちの数は3人。全員裸。プラプランしてやがる。


ならやることは1つ。


狙いを定めて


「召喚」


一番後ろの男の足元にスライムくんを召喚する。

突然足元が跳ね上がったため、男は対応できずに上空に浮き上がる。汚いけつが宙を舞う。


「うわああ」


驚く男の声に残りの男たちも振り向く。


その間に私は前に突進して距離を詰める。


「らああああ」


驚いた男たちが声に反応して、私の方へ向き直る。

そして私は目の前のぶらぶらに思いっきり拳を叩きつけた。



「のひゅん!」


1番手前の男が何とも言えない言葉を発して倒れ込む。


「野郎」


私のほうに向けて手を開く。一瞬間抜けにも見えるその行動だったが、直後に私がいた場所に火の手が上がる。


ぶなっ!あれは魔法なんかな?


火はその場にあったスライムの中に飲み込まれていった。


「なっ!どこへ」


周囲を見渡すがどこにも見つからない。当然だ。


「ここだぁ!!」


上空から男に向かって渾身の力でかかとを落とす。不意のしかも頭部への攻撃をもろにくらって男は倒れた。


ヒーローショーとビル清掃のバイトが役に立った。身のこなしには自信がある。


「さてと」


倒れた男達の荷物が岸に置いてあった。


「身ぐるみを剥がしますか」

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