Drama 8. 仮題 エミールー二人の街角ー

―自然の摂理の手のもとにある時は、すべて良いものだが、

それを離れると、悪くなるというのかー


人間でさえもそうだ。

自然のままに、良いものに社会はしておかない。

そんな間違いだらけのように思えるような社会の中で、

君は、生きていくんだ…

強く!


川辺に膝を抱えるように座る二人は、強く抱きしめあった。


彼女は、俺に水を与えてくれる。


そして、俺は、川の流れを見つめながら、ただ、思いを巡らせた。

真実を見つけるための術を。


誰も否定のできないことが、正しいことなのかもしれない。(デカルト:演繹法)

正しいことを、追求する。(フランシスベーコン:帰納法)

それが、いつか大きな正しさを、生みだすことになるのかもしれない。

二つのことを、正と反に分け、合一して、一つ上の次元に上げていく。(ヘーゲル:弁証法)


ただ、住みにくいこの世の中で、ただ、真実をつかむために、思いを巡らせた。

真実が見つからないからと言って、泣いてしまおうか、いや、逃げ出してしまおうか。

川の水をすくう俺、手のひらから零れてしまう水に、儚さを感じる。

今は、自然の中で、自然に生きたい

当たり前のような生き方をしたい。

けれども、当たり前のことができないでいる俺。


今は、ただ、君の瞳を見つめていたい。


走り抜ける足音。

心の声を、ただ、聴こうとした。

俺は、道なき道を駆け抜けてやる。

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