5(おまけ)

 ***おまけのカットシーン***


 ランスは隣に座っているレベッカの肩をつついた。

「なあレベッカ。前回アウグスタさんが空軍少尉! て言ってたじゃん。あれ、みんな階級があるの?」

「あるわよ。軍服の肩にワッペンがついてるでしょ。その星の形と数でわかるわ。ちなみに私は一等兵」

「かっこいい! じゃあさ、艦長ぐらいになると何なんだ?」

「陸海空の三大将軍の下が本部の少将と中将で、その下だから大佐か中佐くらいだと思うわ」

「えっそれって、あの指パッチンしたら火が出る人と同じじゃん」

「艦長はそんな芸当できないわ。ここは王国じゃないし」

「じゃあ何ができるんだ?」

「いちおう弾薬は消費してるみたいだけど、私も艦長が銃を使ってるところはまだ見たことがないの」

「えっそれで軍人なのか? メーヴェとか紙ヒコーキに名前つけたり、リア充爆発しろとか言ってる場合じゃないんじゃね?」

「それを言っちゃダメよ! でも戦略とか立ててるじゃない?」

「それ、ほとんどアストラさんの仕事じゃん」

「うーん、私も正直なところ知らないの。艦長がどうして年中残業してるのか」

「それって雨の日じゃなくても、むの……」

「しーっ! どこで誰がきいてるかわからないでしょ!」


「へっくし!」

 艦長は両手で口元を覆ってくしゃみした。ブレンが小声で「ブレス・ユーだったか?」と言うと、艦長は「ありがとうサンキュー」と答えつつティッシュで鼻をかんだ。

「花粉か? コ○ナか?」

 艦長室の隅に立って、何かの操作説明書を読んでいたアーノルドが顔を上げた。

「花粉はまだ飛んでいない。あと、コ○ナではない」

「へっくし!」

「そんな機能あんのかよ」

「埃や花粉、PMやスモッグなどの有害物質は感知できる」

「へー。くしゃみ二回は悪い噂らしいぜ艦長」

「はあ……いつも二回出るんだ。どうせみんな悪口言ってるんだろ。遊んでるとか役立たずとか」

「そーゆー自己卑下するヤツは大体仕事ができねえ」

「その傾向はある」

「君たちさ、僕をなんだと思ってるんだよ」

 艦長は貧乏ゆすりしながら苛立った声を出した。

「自分でさっき言ってただろ。それ以上言っていいんなら言うけどよ」

「言わなくていい……へっくし! 三回出たぞ!」

「まぐれだろ。雨の日じゃなくても無能だな」

「間が空きすぎている。無能は下がっていろ」

「うるさい!」

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