第三章:殺意の侵食

「わかった。確かにいつまでもここにいるわけにもいかないしな」


「マスコミだって、いつ駆けつけてくるかわからないしね。わたしあいつら嫌いだし」


 近くの道路を走る車を見回し、天寺がぼやく。


「そうね。それじゃあもう行きましょう? ここにいるのも落ち着かないわ」


 犯人がまだ近くにいることを警戒してか、神川はどこか急かすような口ぶりでそう告げた。


 座っていた日向を立たせ、羽舞が絵夢へご迷惑をかけますと頭を下げる。


「じゃあ、行こうか」


「何かあったときは、すぐに連絡するんだよ?」


 会場の敷地から出ようと背を向けたレイニーたちへ、心配そうな七見の声がかけられる。


「言われなくてもわかってるわよ、それくらい」


 天寺が振り向いて答え、小さく手を振る。


「えっと、誰から送り届ければ良いんでしょうか?」

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