第三章:殺意の侵食

「ありがとう、七見さん」


 ほっとしたように、神川が息をつく。


「いいかい? その代わり、これ以上余計な迷惑をかけないように。あと、今日の事は誰にも喋ったら駄目だぞ。明日中にでも事務所から正式なコメントを発表すると思うから」


「話さないわよ。ただでさえ思い出したくないのに」


 言うまでもないというように天寺が答える。


「あの、草本さんはどうするんですか?」


 話がまとまるのを待っていたらしい影宮が、遠慮がちな声をあげた。


「ああ、彼ならこのまま帰るんじゃないかな。所属してる事務所も違うし、彼には彼でやることがあるはずだから。一応、メールは打っておくよ」


 会場を見つめて携帯を取り出す七見を横目に、絵夢は未だに腕を掴む天寺へ話しかけた。


「みなさんの住んでる場所は、ここから近いんですか?」

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