第三章:殺意の侵食

「ですが……」


「良いじゃん、本人が送ってくれるって言ったんだからさ。雨池さんなら信用できそうだし、何も問題ないって」


「いや、だけどね……」


 あくまでも首を縦に振るつもりのない七見に業を煮やして、天寺は焦れったそうに声を荒らげた。


「もう! じゃあ何? わたしたちが自分の部屋に帰って、万が一そこで誰かに襲われたりしても良いってわけ? もしそうなった時に七見さん、責任取れるの?」


「美夕ちゃん、なにもそこまで言わなくてもいいじゃないか。俺だってみんなを心配してるんだ」


 きつい一言を突きつけられた七見が、困ったように表情を曇らせる。


 そして、さらに何かを言おうとするように口を開きかけたかと思うと、諦めたように首を振った。


「はぁ……、わかった。そこまで言うなら二人の意見を尊重しよう」

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