第三章:殺意の侵食
「絵夢さん、送ってあげたらどうですか?」
レイニーたちを見かねたのか、嶺垣が神川を庇護するように口を開いた。
「どうせ、このまま帰っても絵夢さんにやることなんてないでしょうし」
「うん、一言余計だよ」
無神経な助手の言葉を切り捨てて、絵夢は七見に話しかける。
「あの、僕で良ければみんなを送り届けますよ。もちろん、住んでる場所の住所とかは内密にしますし詮索しないことも約束します」
相手は人気アイドルだ。下手にプライベートな情報を外に漏らすことは、事務所側としても避けたいだろう。
「しかし、部外者の方にそんな迷惑をおかけするわけには……」
絵夢の申し出にも渋った様子を見せる七見。
「迷惑だなんて思っていません。僕たちだって、今日はいろいろお世話をおかけしましたし。まぁ、そのお礼ということで」
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