第三章:殺意の侵食

「……ん?」


 階段を下りきり通路を数メートル進んだ所に、ライヴの準備をする際に出たのであろう様々なゴミが隅にまとめられているのが目についた。


 破かれたビニルや、潰され折り畳まれた段ボールが多い。


 他にも、包装紙や何かのパネルのような物があり、中には一部のスタッフが着ていた作業用のジャケットやズボン、帽子までゴミの上に放置されていた。


(バイトのスタッフでもいたのかな?)


 こんな事態になってしまっては、もう仕事どころではない。


 使用済みとなった作業着を適当に放って出ていくような者も、バイトの立場ならば稀にいてもおかしくはない。


 ゴミの山から通路の前方に顔を向けると、一番奧に位置する場所は特に物々しい雰囲気に包まれていた。


 光野 雫の控え室があった場所だ。

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