第三章:殺意の侵食

 裏口となる扉の前で立ち止まり、しばらくそちらを見つめる。


 通路は途中から立ち入り禁止のテープが貼られ、一般人は入れなくされていた。


 犯人の痕跡を探しているのか、すぐ側にあるトイレにも警察の姿があった。


 殺害現場から二、三十メートルの距離だ。


 確か男子トイレは使用できなくなっていたはずだから、人の出入りもほぼ皆無であっただあろう。


(犯人が隠れるには結構都合が良さそうな場所だったかも)


 今更ながらそんなことを考えるが、それでどうなるものでもない。


 仮にどうにかなるのなら、中を調べている警察がすぐにでも手柄をあげることだろう。


 と、出入り口の前に立つ警官が不審そうにこちらを見ていることに気付き、絵夢は軽く頭を下げその場を離れようと外へ出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る