第三章:殺意の侵食

「せっかくなのでお聞きしますが、雨池さんなら犯人が凶器を始末する場合どこへ隠すと思いますか?」


「僕の考えですか? そうですね……、被害者の体内とかはどうでしょう」


「体内?」


「はい。現場にペットボトルのお茶がこぼれていましたよね? あのお茶で無理矢理死体に針を飲み込ませたとか」


 実際、そんなことが可能かと言われれば自信はない。


 あくまで空想の域を出ない仮説だ。


 案の定、霧洲もおかしそうに口元を歪め鼻を鳴らした。


「なかなか面白いですね。うん、その発想はなかった」


「すみません、まともな推理ができなくて」


「いや、そんなことはないですよ。十分貴重な意見です」


 笑いながら答え、霧洲は腕時計を確認した。


「雨池さんにはもう一つだけ質問があります。探偵をなさっているという話でしたが、どうでしょう、雨池さんから見て不審な人物というか、怪しい人に心当たりはありませんか? さりげなく不自然な行動をとっていた人を知っている等、どんなことでも良いんですが」

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