第三章:殺意の侵食

「的場さんが殺されたのは何時頃だったのか、警察はもうわかってるんですか?」


「ええ。的場さんが死んでいるのを神川さんが発見したのは十三時五十分頃でした。雨池さんたちと別れて控え室に行ったのが十二時くらいということですから、殺されたのは十二時から十三時五十分の間です。さらに詳しく調べが進めば、もう少し絞り込むことができるでしょう」


「防犯カメラとかは無いのですか? もしあるのなら、犯人を特定するのも容易になりそうですけど」


 その二つ目の質問に、霧洲はため息をつきながら頭を振った。


「会場側、つまり客が利用するエリアにならいくつかカメラが設置されているらしいですが、関係者が使うエリアにはそういった設備はほとんど設けていないそうで。唯一あるのは裏口の前に一台。建物に出入りする人だけはチェックできていたみたいですね。これも、これから映像を調べますよ」


「そうですか……」


 裏口というと、天寺がメールをしていた付近のことだ。


 おそらく、絵夢たちが殺された二人とした最後のやり取りの様子も記録されているかもしれない。

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