第三章:殺意の侵食
「ブログ、ですか」
よく耳にする単語だが、絵夢にはあまり馴染みがない。
日記みたいなものだろうと判断はしているが。
「控え室に寄った後は、会場へ?」
「そうです。草本さんが自分の控え室に戻ったので、嶺垣くんと影宮さんの三人で会場へ向かいました」
「席は? 三人一緒でしたか?」
「いえ、僕と嶺垣くんは最前列で、影宮さんは……確か前から六列目の左端に座っていたはずです」
「……ということは」
手帳に書き込む手をピタリと止めて、霧洲が顔を上げる。
「ショーが始まってからは、影宮さんの姿を常に見られる位置にいたわけではなかったんですね?」
「そうなりますね。嶺垣くんは隣にいましたから嫌でも確認できましたけど、影宮さんに関してはショーが始まってからは一度も見ていません」
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