第三章:殺意の侵食
「小道具、ね。まぁ、何かあるか確かめておきましょう。他に気づいたことはありませんか?」
手帳に絵夢の証言を書き込む霧洲。
「いや、あとは特にありません。食事が済んでここに戻ってからはすぐに二人とは別れてしまったので」
「それが十二時ちょうどくらいだったんですね?」
「そうです」
「その後、雨池さんはどちらへ?」
「えっと、草本さんの案内で隣の控え室へ行きました。ライヴが始まる前に一度挨拶しておこうと思ったので」
「そのときは他に誰がいましたか?」
「僕と嶺垣くん、影宮さん、草本さんの四人です。あ、あと、戻ってきたとき裏口の外に天寺さんがいました。メールをしていたのかな? 携帯をいじってましたけど」
「それは天寺さん本人も言ってましたね。ライヴ直前の状況をブログに更新するついでに、知り合いへメールをしていたみたいです」
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