第三章:殺意の侵食

 問われて絵夢は昼食の様子を振り返るが、その時点で特別何か不審なことがあった記憶はない。


「別に、何もありませんでしたよ。他愛のない会話をしながら普通に食事をしていただけで……あ」


 そこまで言いかけて、ふとあることを思い出した。


「どうしました?」


「そういえば、食事に行く前の話ですけど、嶺垣くんが光野さんへマジックに使う道具を見せてほしいと持ちかけたんです」


「マジックの道具?」


「はい、人の入った箱にナイフを飛ばすみたいなマジックを光野さんが以前にやっていたらしくて、そういうのを見ていてどんな小道具を使っているのか気になっていたみたいなんです。それで、その話をしたとき光野さんと的場さんがちょっとだけぎこちない態度をとっていたのが気になりました」


 そのナイフを刺すマジックの代わりに、あの剣山に落下するマジックを考案したと言っていた。


 事件に関係するかはわからないが、一応伝えておいても良いだろう。

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