第三章:殺意の侵食

        【2】


 午後六時。


 日向から始まった事情聴取は、神川、羽舞、天寺、影宮、七見、嶺垣と続き絵夢は八番目に聴取を受けることとなった。


 荷物検査も同時に行うということで、それぞれ自分の私物を抱えて部屋を出ていく形となり、途中で日向の荷物も若い警官が引き取りにきた。


 自分は最後でも問題ないからと告げる草本に挨拶をして、呼びに来た警官と共に部屋を出る。


 霧洲が待っているはずの隣室に入ろうとノックをしかけたときに嶺垣からメールの着信が入り、聴取が終わったら会場の表口に来てほしいと連絡を受けた。


 聴取が終わったら本当にそのまま帰されているのかもしれない。


 自分のことなど待たずに先に帰宅して良いと返信しかけ、何か話があるのかもしれないと思い直し了解とだけ送信しておくことにした。


 携帯をしまい、あらためて扉をノックする。


 どうぞ、という霧洲の声が返ってきた。


「失礼します」

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