第三章:殺意の侵食

 そこが彼女のアイドルとしての魅力になっているのかもしれないが。


「ま、とにかく事情聴取だかなんだかをさっさと終わらせて早く解放してほしいわ。得体の知れない殺人犯が紛れてるかもしんないとこにいつまでもいたくないし」


 天寺は強がるようにそう会話を締めくくるも、その目は力なく伏せられる。


 やはり、不安はあるのだろう。


「鈴水、大丈夫かな……」


 再び訪れた沈黙に、心配そうな神川の声が混じる。


 しかしそれに答えを返す者はなく、陰鬱な時間だけがただ静かに流れていくだけだった。

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