第三章:殺意の侵食

「ええ、以前に一度今回のようにライヴの前座をしてもらったことがあります。今年の三月だったかな」


 適当に椅子を引き寄せ座りながら、七見が答えた。


「その時も、このメンバーでライヴを?」


「いえ、草本くんは参加してなかったですよ。レイニーと光野さんだけでやりました」


 同意を求めたわけではないだろうが、七見が草本を一瞥する。


 つられて絵夢もそちらを向くと、草本は一度だけ頷きながら七見の会話を引き継いだ。


「うん、俺が光野さんと共演するのは今回が初だよ。以前にショーを観に行ったことはあるけど、それだけ。まともに話をしたのは一ヶ月くらい前だったかな、打ち合わせの席で雑談をしたりしてたよ」


「その打ち合わせの後は頻繁に会う機会はあったんですか?」


「そりゃ、もちろん。なんだかんだで週に二、三回は顔合わせてたかな。それはレイニーのみんなも同じだけどね」

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