第三章:殺意の侵食

 七見がそう言うと霧洲は、


「構いませんよ」


 と答えてレイニーの四人を順番に眺め、やがてその視線は日向で止まった。


「それじゃあ、日向さんからお願いできますか?」


「え? あ、あたしが一番ですか?」


 まるで人を警戒する子猫のように、日向は身を固くする。


(彼女を疑っているわけか)


 現場から不自然に発見されたハンカチ。


 その持ち主が確実に日向 鈴水であるというならば、警察としては無視するわけにいかない。


 そうなれば当然、最重要容疑者として扱われることにだってあり得てくる。


「日向ちゃん、大丈夫だよ。警察の質問に素直に答えておけば、何も問題なんかないから。そのハンカチのことだって、心当たりがないならはっきりそう言っておけば良いんだ」

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