第三章:殺意の侵食
「刑事さん、俺たちはいつまでここにいれば良いんですか?」
痺れをきらしたような声音で、草本が口を開く。
「まぁ、待ってください。これから個人的にお話を伺わせてもらいまして、その後私たちの指示に従う形でこの建物から出てもらうことになります」
「だったら、いい加減早くやりましょう。こんなことになって、彼女たちなんか精神的に参ってるんですよ。休ませてあげるべきでしょう?」
草本が神川たちを親指で示す。
ちらりと彼女たちを一瞥し頷くと、霧洲は手に持っていた黄色い布のような物を全員に見えるよう掲げてみせた。
「それじゃあ、余計なことは省いて話を進めさせてもらいますが、皆さんの中でこのハンカチに見覚えのある人はいらっしゃいませんか?」
そう言って広げてみせたハンカチは、可愛らしく小さなヒマワリが刺繍されていた。
女の子が好んで使うようなデザインで、絵夢には見覚えのないものだった。
いったい、そのハンカチが何だと言うのか。今回発生した事件とどういう繋がりがあるのだろうと訝しんでいると、唐突に日向が声をあげた。
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