第三章:殺意の侵食

 嶺垣の言葉に、絵夢は少しだけ安堵する。


「むしろ、まだマジックが続いてるんじゃないかって半信半疑でいたくらいでしたし」


 最後にそう付け加えて、嶺垣は自嘲気味に笑う。


 自分の話す内容に自分で呆れているような、そんな含みのある笑みだった。


「まぁ、いきなりあんなことが起きたらそう思いたくなるのも無理はないよ」


 通路から、足音が近づいてくるのがわかった。


 一旦会話を中断し、絵夢と嶺垣は同時に扉へ視線を移す。


 また通り過ぎるだけの足音だろうと待っていたら、予想に反して部屋の扉が開かれた。


 反射的に、全員が顔を上げる。


「どうも、長々と待たせてしまいまして申し訳ありません」


 そう言って部屋に入ってきたのは霧洲だった。

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