第二章:殺意の蹂躙

 万が一仮に捕まることになったとしても、せめて全員を殺し終えるまでの時間稼ぎになればと必死に考えて思いついたトリックなのだ。


 これがあっさり看破されてしまったら……。


(……よそう。余計なことを考えてる時じゃない)


 小さくかぶりを振って、私は胸中に広がりかけた嫌な予感を霧散させた。


 今更やり直しなどできないのだ。心配などしても意味がない。


 私は、さりげなく室内を見回し次の獲物を視覚に捉える。


 あいつは、これから自分が殺されるということを自覚などしていない。


 運悪く事件に巻き込まれただけだとでも思っていることだろう。


 せいぜい、被害者面をしていればいい。


 あの二人と同じよう、すぐに無惨な死を与えてやる。


(ここまできたんだ。例え何があっても、最早許すつもりなんか微塵もない。最後までやり通すだけだ)


 どうせこいつらには罪の意識などあるはずがないのだから……。

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