第二章:殺意の蹂躙

「ここからは光野さんが行おうとしていたマジックのネタばらしにもなってしまうので、まぁ、最低限のことだけを説明させていただきます」


 最後に絵夢と嶺垣を一瞥して、霧洲は話を再開する。


「もともと、あの光野さんが閉じ込められた箱の下部とその真下にあたる床の部分は縦にスライドする仕掛けがされていたらしく、箱が宙吊りになる前にそこから脱出してステージ下へ逃れている予定だったそうです」


(僕が想像した通りだ)


 おそらくは光野が雇っていたスタッフから聞き出したのであろうそのトリックの答えに、絵夢は自分の推測が当たっていたと確信する。


「しかし、結果として光野さんは箱から脱出していなかった。何故なら、両手足を拘束していたあの手錠を外すことができなかったからです」


「鍵が無かったから、ですか?」


 影宮がおずおずと口を開く。

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