第二章:殺意の蹂躙

 やり取りを済ませて電話を切ると、七見は最初に絵夢を見て、それから霧洲へ会話の内容を話しだした。


「今からこちらへ来ると言っていました。ずっと会場の外で一般のお客さん達と一緒にいたみたいですね」


「会場の外って、草本さん、あたしたちと同じ場所にいたんですか?」


 全然気がつかなかったという様子で嶺垣が口を開くと七見は、


「そうみたいですね」


 と軽く頷いた。


「でも、何でそんな所に? 自分の控え室に戻っていたんじゃなかったんですか?」


 とりあえず絵夢は、疑問に思ったことを素直に訊ねてみる。


「いや、控え室には戻ったみたいなんですけど、どうやらトイレに行っていたらしくて」


「トイレ?」


「ええ。配水管のトラブルか何かで、スタッフ用の男子トイレが使用できなくなっていて、それでお客さんが使用するトイレへ行っていたそうで」

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