第二章:殺意の蹂躙

 自分の控え室へ戻ると言って出ていったのを最後に姿を見ていない。


 これだけ周りが騒いでいれば何かトラブルが発生したことくらいはわかるはずなのに、何のリアクションも起こさないでいるのはおかしい。


(まさか、草本さんの身にも何かあったんじゃ……)


 嫌な想像が頭に浮かぶ。


 立て続けに起きた惨劇。それが、これで終わる保証などないのではないか。


 胸に不安が広がり、無意識に鼓動が早くなってしまう。


 何もなければ良いが。


 そんな気持ちで電話をかける七見を見つめていると、おもむろにその口が動いた。


「草本くん? 七見です。今どこにいるんです? え? ああ、ええ……。今、こっちに警察の人が来ていていろいろと話を聞きたいらしいので、……ええ、そうです。とりあえず、レイニーの控え室に来てもらえれば。はい……、はい、わかりました。それじゃ、よろしくお願いします」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る