第二章:殺意の蹂躙

 この部屋に霧洲が入ってきてからも、嶺垣を紹介をするタイミングがなかったせいで、絵夢もなんとなく自分の助手であることを伝えられずにいた。


「えっと、すみません。嶺垣くんはスタッフではなくて僕の助手です。先程説明したときに言った、一緒に来た知り合いというのが彼女のことなんです」


 小さく手を挙げてそう言うと、霧洲はああ、と呟きながら頷いた。


 それからほんの一瞬間を置いて僅かに首を傾げる。


「助手?」


「はい、一応これでも探偵をやっていまして」


 絵夢の言葉に、少しだけ驚いた様子をみせる霧洲。


「探偵……。本当に?」


 珍しい物を見るように絵夢を眺める霧洲へ、頷いて答える。


「まぁ、探偵には見えないってよく言われたりしますけどね」


 苦笑混じりに告げて、絵夢は影宮を手で示す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る